1997 Fiscal Year Annual Research Report
活性型K-ras遺伝子を標的とした遺伝子治療の基礎的検討
Project/Area Number |
08670627
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Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加川 建弘 東海大学, 医学部, 講師 (30245469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 泰弘 東海大学, 医学部, 講師 (80237693)
渡辺 勲史 東海大学, 医学部, 助教授 (90167156)
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Keywords | 膵癌 / アンチセンス / 遺伝子治療 / K-ras遺伝子 |
Research Abstract |
平成8年度に続きin vitroにおけるPca-S細胞に対するホスホロチオエ-ト型アンチセンスオリゴDNA(AS)の細胞増殖抑制効果を様々な条件下で検討した。K-ras遺伝子のコドン12のGTT(Gly)からGTT(Val)へのpoint mutation部位を中心として、15mer、17merのASを作製し、かかる変異を有するPca-S細胞に対する増殖抑制効果をMTT assayにて解析した。コントロールとしてセンスオリゴDNAを用いた。day 0,day 1に1、5、10、50μMの濃度でASを添加、day4に測定したところ、1、5、10μMの濃度ではコントロールに比し有意な増殖抑制効果がみられた。しかし、50μMの濃度ではコントロールでも著明な増殖抑制作用があり、非特異的なcytotoxic effectと考えられた。またAS添加をday0のみにしたところ、コントロールとの差は明らかではなかった。さらに7日目にMTT assayを行ったところ、細胞増殖はコントロールより促進されていた。これはK-ras遺伝子発現がASによる抑制効果に抗して、up-regulationされたものと考えられ、その機序につき現在検討中である。 以上のことから、K-ras遺伝子を標的としたアンチセンスDNAの特異的な細胞増殖抑制効果はある程度認められたものの、in vitroにおいてさえその効果は限定的なものであった。またその効果も持続せず、実際の遺伝子治療では長期に持続的にアンチセンスを発現するようなベクターが必要になると考えられた。
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