1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670634
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
澤村 隆也 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10105786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 和宏 関西医科大学, 医学部, 助手 (20257934)
松崎 恒一 関西医科大学, 医学部, 講師 (70278638)
渡辺 敏彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (20201212)
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Keywords | TGF β受容体 / 大腸腫瘍 |
Research Abstract |
大腸癌細胞においてTGF β(Transforming Growth Factor β)が、細胞増殖抑制因子として働かないことが、その細胞増殖に深く関与していると報告されている。またTGFβには、血管新生や細胞外基質の蓄積作用が知られており,TGF βを介した支持組織との関わりが腫瘍進展に重要と考えられている。そこで我々は,大腸新鮮標本を用いて腫瘍細胞およびその間質系細胞におけるTGF β受容体(T β RI, T β RII)とTGF β1の発現をin situ hybridization法および免疫組織学染色法により検討した。結果:1.Tβ RI,β RII mRNAの発現は,正常上皮,大腸腺腫上皮ではほぼ同程度であったが,30%の大腸癌細胞では消失または減弱していた。それらのmRNAは血管内皮細胞や線維芽細胞などの間質系細胞においても発現していた。TGF β 1mRNAの発現は大腸癌細胞において全例に発現していたが,TGF β1蛋白は,正常上皮,腺腫上皮に比し10%の癌細胞では消失または減弱していた。一方,大腸癌細胞周囲の間質系細胞には全例に強い発現がみられた。結論:1.一部の大腸癌細胞が細胞増殖抑制因子であるTGF βを産生しているにも関わらず,TGF βに対して不応性となる理由のひとつとして,TGF β受容体の発現が消失または低下していることが考えられた。2.大腸癌細胞から産生されたTGF βは間質系細胞上の受容体を通して働き,その支持組織の形成に大きく関わっているものと考えられた。3.TGF β受容体の低下は,大腸腺腫から癌に至るprogressionの過程において重要な意義を持っているものと考えられた。
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