1997 Fiscal Year Annual Research Report
サルコイドーシスの慢性化、難治化に関する病態生理学的研究
Project/Area Number |
08670661
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長井 苑子 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (30217955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 範夫 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (50252515)
三尾 直士 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (90243097)
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Keywords | サルコイドーシス / 慢性化の指標 / 難治化 / イオン化カルシウム / 活性型ビタミンD / ACE / 性差 / 骨密度 |
Research Abstract |
サルコイドーシスの慢性化、難治化についての臨床的課題のひとつとして、予後の指標を明確に見出し、治療を早期に有効に加えるべきかどうかの判断をすることがある。すでに評価してきた指標として発症時年齢、胸部X線上の病期、肺外病変、過去のステロイド投与歴などがある。これらの指標と病勢の指標の中で、病変部位より産生遊離されている活性型ビタミンDに焦点をあてて検討した結果、以下の点が明らかにされた。 1)サルコイドーシス男性症例では血清活性型ビタミンD濃度と血清イオン化カルシウム濃度は有意な正の相関を示したが、対照健常人では負の相関を示した。加えて、血清活性型ビタミンD濃度は肺外病変のある症例では高値を示した。また血清ACE値とも有意な正の相関を示した。 これらの相関は、女性症例では認められなかった。女性では、月経周期、妊娠、出産、閉経によるエストロゲンの産生遊離亢進あるいはその欠乏が、ビタミンD、カルシウム代謝に少なからぬ影響を与えることが想定される。したがって、血清活性型ビタミンD濃度により病勢を評価し縦断的な予後の指標として用いるには多様な因子を考慮しなければならない。今回の検討より男性症例では、血清活性型ビタミンD濃度は血清イオン化シウムに大きな影響を及ぼすと同時に、疾患の全体的な広がりを反映していると考えられた。 2)サイコイドーシス症例において、血清活性型ビタミンD濃度の骨代謝への影響は女性症例で、血清活性型ビタミンD濃度と骨密度との逆相関として認められた。男性では認められなかった。年齢でマッチした症例間、健常人との間には骨密度の有意差は認められなかった。活性型ビタミンDが消化管からのカルシウム吸収を亢進させる一方で、破骨細胞を活性化して骨吸収を亢進させている可能性がある。性差に関しては、今後の検討を必要とされる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 濱田 邦夫: "Ionized calcium and 1,25-dihydroxyvitamin D concentration in serum of patients with sarcodosis" European Respiratory Journal. (in press). (1998)
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[Publications] 重松 三知夫: "Summer-type hypersensitivity pneumonitis. T cell receptor V gene usage in BALF T cells from 3 cases in one familt." Sarcoidosis Vasculitis and Diffuse Lung Diseases. (in press). (1998)
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[Publications] 北市 正則: "Pulmonary Epithelioid Haemangioendothelioma: twenty one patients including three with partial spontaneous regression." European Respiratory Journal. (in press). (1998)
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[Publications] 三国谷 雄: "Lipocortin I gene expression is higher in blood monocytes than in BAL fluid macrophages in patients with pulmonary sarcoidosis." Sarcoidosis Vsculitis and Diffuse Lung Diseases. 14巻(in press). (1997)
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[Publications] 長井 苑子: "Bronchoalveolar Lavage Still Useful in Diagnosing Sarcoidosis?" Clinics in Chest Medicine. 18巻4号. 787-797 (1997)
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[Publications] 長井 苑子: "Immunopathology of Collagen Vasular Disease" Currnt Opinion in Pulmonary Medicine. 3巻. 356-360 (1997)
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[Publications] 蓑輪 一文: "Expression of bcl-2 protein and APO-1(Fas antigen)in the lung tissue from patients with idiopathic pulmonary fibrosis" Microscopy Research and Technique. 38巻. 480-487 (1997)
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[Publications] 小山 関哉: "Type II pneumocytes release chemoattractant activity for monocytes constitutively." Am J Physiol.272巻. 836 (1997)