1997 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲性肺アスペルギルス症の早期の分子生物学的迅速診断法に関する研究
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08670670
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
那須 勝 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039874)
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Keywords | 侵襲性肺アスペルギルス症 / 分子生物学的診断法 / PCR法 / galactomannan抗原検出法 / (1→3)β-D-glucan検出法 |
Research Abstract |
侵襲性肺アスペルギルス症の非侵襲的な迅速診断法として血清を用いたnested PCR法を開発し、動物実験モデルおよび臨床症例における有用性について検討した。 1)動物実験モデルにおける各種診断法との比較検討:サイクロフォスファミドを用いて免疫抑制した8週齢の雄性SDラットに5×10^6個のAspergillus fumigatusの分生子を経気道的に接種し、経時的にエーテル麻酔下に心血採取を行い、血清を用いてgalactomannan抗原、(1→3)β-D-glucan検出法およびnested PCR法を行った。3種の検査法とも感染24時間後より陽性となったが、感染3日後の陽性率は各々、75%、71%、87%であり、nested PCRの陽性率は他の2つの検査法と同等以上であった。更に組織所見との比較を行ったところ、nested PCRの陽性率は組織における菌糸の侵襲の程度とよく相関していた。 2)患者血清における検討:種々の病態のアスペルギルス症と診断された30症例の血清を用いて、nested PCRおよびgalactomannan抗原検出法を行い、侵襲性肺アスペルギルス症の早期診断および肺アスペルギルス症の病態診断における有用性について検討した。侵襲性肺アスペルギルス症における陽性率はnested PCRで83%,galactomannan抗原は50%であった。慢性壊死性肺アスペルギルス症においては各々67%,50%,アスペルギローマでは11%,0%の陽性率であり、nested PCRの陽性率は菌糸の肺実質への侵襲の程度と相関すると考えられた。以上の結果より、我々が開発したPCR法は侵襲性肺アスペルギルス症の迅速診断のみならず非侵襲性の病態から侵襲性の病態への移行を感知する手段のひとつとして有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 橋本 敦郎: "アスペルギルスの遺伝子診断" 分子呼吸器病. 1(6). 111-116 (1997)
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[Publications] A.Hashimoto: "Comparison of PCR,(1→3)β-D-glucan and galactomannan assays in sera of rats with experimental invasive asper gillosis" Journal of Clinical Laboratory Analysis. 印刷中. (1998)