1997 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo培養法を用いた気道粘液過分泌機構の解明
Project/Area Number |
08670673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
稲山 嘉明 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (10184730)
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Keywords | 気道上皮 / 粘液細胞過形成 / 粘液過分泌 / SLPI / エラスターゼ / 免疫組織科学 / 培養実験モデル / MUC |
Research Abstract |
本研究2年度目において、以下の結果を得た。 (1)非腫瘍性肺疾患におけるsecretory leukoprotease(SLPI)・MUC蛋白の免疫染色---昨年度に引き続き、抗SLPI抗体を用いた免疫染色、粘液染色、弾性染色を、症例数を増やして検索するとともに、MUC蛋白(MUC1,2)免疫染色もあわせておこなった。症例はうっ血水腫3,肺気腫13,気管支炎7,気管支拡張症11,各種肺炎18,び慢性肺胞障害9,慢性間質性肺炎6,肺線維症4である.SLPI陽性像は前回同様、気管支腺漿液細胞のほか、表面上皮粘液細胞(杯細胞・SMGC)過形成部、肺気腫(小葉中心性)の気腫部弾性線維、一部の反応性肺胞上皮細胞、化膿性肺炎の細気管支無線毛上皮にみられた。特に最後の所見は好中球などより放出されるエラスターゼの直接的作用を示唆しているのかもしれず、興味がもたれる。MUC2は気管支腺粘液細胞、表層粘液細胞に陽性像を認めたが、MUC1は間質性肺疾患にて肺胞上皮に強い陽性像がみられた。粘液細胞を含む気管支上皮は陰性であり、MUC1と粘液細胞過形成との関連は乏しいと思われた。 (2)培養系における検討---市販気管支上皮細胞を用いて脱上皮気管培養法によって再上皮化グラフトを作製し、グラフト気管内に分泌された粘液の成分を生化学的に検索した。正常群で測定したところ、総蛋白1.19±0.88mg/グラフト、シアル酸は12.2±8.3μg/グラフトであり(n=10)、いままで、報告した家兎上皮細胞を用いた場合(J Toxicol Pathol,1995;8:15)と比べシアル酸量が少なかった。この原因としてprimary cellである家兎細胞に比し、in vitroで継代したヒト気道上皮を用いたことによるのではないかと思われた。即ち、組織学的に上皮の分化があまり良好でないことと関連していると思われた。今後の課題である。
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