1996 Fiscal Year Annual Research Report
多系統変性症(MSA)において発現が増加している新奇遺伝子のクローニング
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08670697
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 順 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10211252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 繁雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50183653)
橋田 秀司 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 多系統変性症(萎縮症) / cDNA / 3番染色体 / 遺伝性脊髄小脳変性症 |
Research Abstract |
オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガ-症候群は小脳性運動失調、パーキンソン症候群、自立神経障害を呈し、臨床的に互いにオーバーラプップする原因不明の進行性の神経変性疾患で、多系統変性(萎縮)症(MSA)と総称される。MSAの病因ないし病態解明のため、MSA剖検脳と正常脳とでの遺伝子発現を比較し、発現に差のみられる遺伝子を同定した。MBPやGFAPなどの既知遺伝子以外に新奇な遺伝子クローン1248の発現に差のあることを見いだした。1248の発現はGFAPなどとともにMSA脳においてその発現が増加している。1248遺伝子の全容を明らかにする目的で、本研究を進め、これまでに以下の点を明らかにした。(1)1248クローンを出発点としてヒト小脳由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし、計12.6kbにおよぶcDNAクローンのコンティーグを得た。塩基配列の解析の結果、8607bpのORFが同定され、タンパク産物の分子量は304kDと推定される。アミノ酸配列は親水性で、Ca結合タンパク、核移行シグナルおよびDNAポリメラーゼIIのC末端の反復配列との相同性が弱いながら認められた。(2)Mapping panelおよびFISH法により、3番染色体長腕先端部に染色体座位を決定した。(3)1248の転写産物はノーザンブロット解析より約14kbと推定される。また肝臓、腎臓などの脳以外の臓器での発現認めず、脳に特異的に発現している。脳内での発現分布などより詳細な発現に関する知見を得るため、in situ hybridization法などよる発現の解析を検討中である。(4)MSAの病態との対比から、遺伝性脊髄小脳変性症に関して、MJD1遺伝子の発現分布の解析(Nishiyame et al.1996)、トリプレットリピートの体細胞モザイシズムの検討(Hashida et al.,in press)を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nishiyama,K.,et al.: "Regicnal and Cellular Expression of the Machado-Joseph Disease Gene in Brains of Normal and Affected Individuals" Annals of Neurology. 40(5). 776-781 (1996)
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[Publications] Hashida,H.,et al.: "Brain Regicnal Differences in the Expresion of a CAG Repeat in the Spinocevebellar Ataxias:DRPLA,MJD and SCA1" Annals of Neurology. (in press). (1997)