1996 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける家族性アミロイドーシス患者の分布と病因遺伝子の多形性に関する研究
Project/Area Number |
08670700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
池田 修一 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (60135134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 隆彦 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80242692)
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Keywords | 家族性アミロイドーシス / 遺伝子異常 / トランスサイレチン / 質量分析 |
Research Abstract |
今年度は中国北京の協和医科大学との共同研究により、中国東北部のShuihua出身の家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)家系の臨床像、遺伝子異常の検索を行った。家系調査の結果4世代に渡り14名の患者の存在が確認され、臨床像は下肢から始まる多発神経炎と自律神経障害が目立ち、典型的なtype I FAPであった。また腓腹神経生検組織のアミロイドは抗トランスサイレチン(TTR)抗体で特異的に免疫染色されることが確認された。TTR遺伝子の異常は4名から得られた血清とgenomicDNAを用いて検討した。まず最初に近年微量な変異蛋白の検出に有用であると言われているMALDI/TOF mass spectrometryを用いて対象者の血清中のTTRを検索した。その結果、4名中臨床症状がある2名では変異TTRが血清中に存在することが明らかとなり、この変異TTRは正常のTTRより質量が32Da多いことから、N末端から30番目のvalineがmethionineに置換した(30Val→Met)変異TTRであることが推測された。そこでPCR法でTTR遺伝子のexon 2を増幅して制限酵素解析を施行したところ、上記の遺伝子異常が確認された。 この30Val→MetTTR型FAP家系は中国本土において見出され、かつその遺伝子異常がはじめて同定されたFAP家系である。従来本病型のFAP家系はヨーロッパ諸国、米国、日本などから報告されていたが、今回中国人でも見出されたことより、本疾患は民族の違いを超えて発生する疾患であることが判明した。またmass spectrometeryによる血清中のTTRの検索はFAP患者の迅速かつ簡便な補助診断法として非常に有用であることも明らかとなった。
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[Publications] Ikeda S,Tokuda T,et al.: "Transthyretin Met30 familial amyloid polyneuropathy in China. Usefulness of mass spectrometry for screening a variant TTR in serum." Amyloid : Int J Exp Clin Invest. (in press).