1997 Fiscal Year Annual Research Report
正常者および中枢性運動障害における脊髄反射回路の中枢性制御の解析
Project/Area Number |
08670701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
新藤 政臣 信州大学, 医学部, 助教授 (90020924)
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Keywords | Ia促通 / Ib抑制 / シナプス前抑制 / 中枢制御 / 加齢 |
Research Abstract |
正常者の加齢に伴う脊髄反射回路の活動性の変化を検討するために,Ib抑制とIa促通について検討した.対象は正常成人.ヒラメ筋H反射を用いてIb抑制(16人,21歳〜54歳),単シナプス性Ia促通(30人,24歳〜68歳)を検討した.H反射は大きさはいずれの実験でも20〜25%of Mmaxにそろえた.条件刺激は内側腓腹筋神経(Ib抑制),大腿神経(Ia促通)に与え,強度は前者がM波闘値の0.95倍,後者はM波の最大上刺激としてた.Ib抑制,Ia促通ともに効果はtime courseで検討した.抑制量・促通量は,Ib抑制では%of Maxで,Ia促通はtime courseの傾き(%of control H/ms)で表した.Ia促通については,加齢に伴ってほぼ直線的に促通量が減少した.一方,Ib抑制については,加齢による抑制量の変化はみられなかった.Ib抑制は拮抗筋の随意収縮によって増加するが,収縮による抑制量の増大も加齢による変化はなかった.Ia促通は単シナプス性の部分について解析したため,促成量の減少はIa線維終末に対するシナプス前抑制が増加したためと考えられる.非特異的な機能を持つといわれるシナプス前抑制と,運動に伴って特異的に制御されるIb抑制の態度が異なったことは,加齢に伴う制御機構の変化が一様ではないことを意味する.加齢によってIb抑制は変化しないが,シナプス前抑制は増加し,高齢者の運動障害に関与する可能性がある.加齢による脊髄反射回路の活動性の変化は回路によって異なる. 大脳磁気刺激を用いたIb抑制回路に対する中枢制御について,正常者と痙縮患者を対象に検討している.データ数はまだ十分ではないが,これまでのところ随意収縮による中枢性制御とほぼ同様の結果が得られている.
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