Research Abstract |
1. 遷移金属による水酸化ラジカル(HO・)生成に対するドパミン(DA),6-ハイドロキシドパミン(6-OHDA)の影響:Fe(II),Fe(III)単独,あるいはFe(II),Fe(III)とH2O2によるHO・生成に対して,DAおよびL-DOPA添加は影響ないか軽度促進させたが,6-OHDA添加はHO・生成を著明に増加させた.6-OHDAはスーパーオキサイド(O2^-)を生成することから,Fenton様反応がより促進されHO・生成が高まると考えられる.これに対してCu(II)の場合,Cu(II)単独あるいはCu(II)とH2O2により著明なHO・生成がみられたが,DA,L-DOPA添加において著明な,6-OHDAにおいて軽度のHO・生成の抑制が認められた.これはCu(II)がこれらのDA系化合物と配位したためと考えられる.6-OHDAはHO・生成を促進することから,配位に基づく抑制効果が相殺され軽度にとどまったと推測される. 2. DA系培養神経細胞(B65)のスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD),グルタチオン(GSH)活性に対する遷移金属,DA,6-OHDA,H2O2の影響:Cu(II),6-OHDA,H2O2の添加によりB65細胞の生存率が濃度依存的に減少することを昨年報告したが,本年はその場合のSOD,GSH活性の変化を検討した.SOD活性はFe(II),Fe(III),Cu(II)添加後2-4時間後に亢進し,AI(III),DA,6-OHDA,H2O2の添加ではやや遅れて上昇した.遷移金属,6-OHDAによるSOD活性の上昇は24時間後も持続しており,特にFe(III)で著明であった.これらのSOD活性の上昇はO2^-生成に対する代償性な変化と考えられる.L-DOPA添加では24時間後にはじめてSOD活性の上昇がみられ,L-DOPAからのO2^-生成が緩徐であることが示唆された.一方,GSH活性はFe(III),Cu(II)添加でやや減少する傾向がみられた.DA,6-OHDA,L-DOPAおよびH2O2の添加によりGSH活性は24時間後に有意に増加し,特にDA,6-OHDA添加では約3倍にまで増加した.これはDA,6-OHDAによる酸化的ストレスが遅発性にしかも著明に惹起されることを示している.
|