1997 Fiscal Year Annual Research Report
生理学的手法(脳磁図、脳波、誘発筋電図)を用いた随意運動発現機構に関する研究
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08670741
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
金桶 吉起 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (20280589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 幸子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40270483)
柿木 隆介 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10145196)
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Keywords | 視覚 / 高次脳機能 / 脳磁図 / ヒト / 運動視 / 仮現運動 / 反応時間 |
Research Abstract |
本年度は,ヒトが視覚刺激に応じて運動を起こすときに,どの処理過程にどの程度時間が費やされるかを検討した.視覚刺激としては仮現運動刺激を用いた.少し離れた位置にある二つの光を交互に点滅させると,人は運動を知覚する.我々は先に,この仮現運動刺激がヒト運動視中枢付近からの反応を誘発することを見出した.そこで、この脳磁図反応の潜時が二つの光の距離によってどう変化するか検討した.被検者は健康成人男子3名で37チャンネルの脳磁場計を用いて,仮現運動視覚刺激に対する脳磁場反応を記録した.視覚刺激として,二つの線分を左視野に2-3秒ごとに交互に提示した.また線分間の距離は視角で0.05度から5.0度までの6段階を使用した.各被検者の脳磁場反応はいずれの刺激条件でもヒト運動視中枢付近から発生していると考えられた.またその反応潜時は線分間の距離に依存して変化し,距離が大きくなるほど潜時は短縮した.各被験者間の反応潜時を比較すると,30ms程度の有意な差(p<0.01)が認められた.この脳磁場反応は視覚刺激に対する単純な反応ではなく,運動視の知覚に関わっている脳内過程を反映すると考えられる.そこで同じ視覚刺激に応じてボタンを押す単純反応時間を測定し,脳磁場の反応時間と比較した.反応時間も個人差が見られ,また距離が大きくなるほど潜時は短縮した.しかし脳磁場と反応時間の差は視覚刺激条件,個人によらずほぼ一定(約64ms)であった.これは運動知覚に80-180msを要し,その後ボタンを押す運動発現に約64ms要することを示す.また運動知覚に要する時間は運動発現に要する時間より個人差が大きいことを示している.この結果はBrain Researchに投稿中である。
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Research Products
(1 results)