1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋傷害に対する筋小胞体カルシウム放出抑制剤の有用性
Project/Area Number |
08670750
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石出 信正 東北大学, 医学部, 助教授 (40124549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 豊 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90250779)
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Keywords | 筋小胞体 / 細胞内カルシウム濃度 / カルシウム過負荷 / 心筋傷害 |
Research Abstract |
心筋虚血、心肥大及び心不全において様々な要因によりカルシウム過負荷がおこり、それにより心筋障害が生ずることが知られている。心筋細胞においては、筋小胞体からのカルシウム放出が心筋細胞内カルシウム濃度を決定する最も大きな因子である。これを修飾する薬剤が新たな治療薬として心疾患に用いられる可能性がある。 我々は、ハムスターの摘出灌流標本にfura2を負荷し、蛍光顕微鏡用いて観察し、カルシウム過負荷が心筋細胞の自発的かつ非同期的収縮を引き起こし,これが左室収縮機能及び拡張機能の低下を引き起こすことを明らかにした。さらにこの心筋細胞の自発的かつ非同期的収縮は、筋小胞体からのカルシウム放出を抑制するリアノジンにより消失し、このとき左室拡張末期圧のカルシウム過負荷による上昇は、有意に抑制された。 次に我々は、臨床的により安全性の高い薬剤としてダントロレンを用いて、これがカルシウム過負荷時の左室収縮及び拡張機能に与える影響を検討した。ダントロレンは、カルシウム過負荷時の左室収縮期圧及びMax dp/dtを有意に上昇させ、一方、左室拡張末期圧の上昇を抑制した。このとき、心筋にfura2を負荷し蛍光顕微鏡で観察したところ、自発的かつ非同期的収縮は対照に比し抑制されていた。以上よりダントロレンは、カルシウム過負荷時の左室収縮及び拡張機能を改善する事が示された。今後、より選択的に心筋の小胞体からのカルシウム放出を抑制する薬剤が開発されれば、より安全に心筋をカルシウム過負荷から保護することができると思われる。
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