1997 Fiscal Year Annual Research Report
心不全進展におけるエンドセリンの関与の解明に関する分子生物学的検討と新治療法開発
Project/Area Number |
08670757
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮内 卓 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60222329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉下 靖郎 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (90010131)
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Keywords | エンドセリン / 心不全 / 分子生物学 / エンドセリン拮抗薬 |
Research Abstract |
【背景と目的】心筋細胞や血管内皮で産生されるエンドセリン(ET)-1は血管収縮作用を有すると伴に、心筋に対して細胞傷害作用や肥大作用を有する。今回、慢性心不全(CHF)における内因性ET-1の病態生理的役割を検討し、ET拮抗薬の治療薬としての可能性も検討した。【方法・結果】ラットの左冠動脈を結紮して心筋梗塞を作成した(CHF群)。偽手術群には開胸手術のみを行った。手術3週後の検討にて、左室(LV)+dP/dt maxの低下・左室拡張終期圧(LVEDP)および中心静脈圧の上昇がCHF群にみられ、ラットは心不全になっていた。この時期、左室でのET-1 mRNA発現は、偽手術群よりCHF群にて著明に亢進しており、LVの組織ET-1レベル(ペプチドレベル)もCHF群で著明に増加していた。CHF群にETA受容体拮抗薬であるBQ123([CHF+BQ123]群)または生食(Vehicle)([CHF+生食]群)を、偽手術群にも生食を、浸透圧ミニポンプにて12週間投与した。生存率は、[CHF+BQ123]群の方が[CHF+生食]群より著明に高かった(85%vs43%,P<0.01)。生存したラットでの検討にて、BQ123の投与はCHF群のLV+dP/dt maxの低下やLVEDPの上昇を改善することが示され、また、病理組織学的検討にて、BQ123の投与はCHF群の心臓リモデリングの進展を抑制することが示された。抗ET-1抗体を用いたET-1の染色性(ET-1様免疫活性)は、CHF群の心筋細胞にて著明に増大していたが、冠動脈内皮細胞では両群間に違いはなかった。またこの病時期の不全心筋にて、アンジオテンシン変換酵素mRNAの発現は亢進していた。一方、ET変換酵素mRNAの発現は亢進が認められず、ゆえにET産生増大はET前駆体産生増大に起因し、ET変換酵素には依存しないことが示唆された。よって、不全心筋におけるアンジオテンシン変換酵素とET変換酵素の役割は異なっていた。【結論】CHFラットの心臓においてET-1の産生(mRNAおよびペプチドレベル)は著明に亢進してた。これは、ET前駆体産生増大が主な原因であり、ET変換酵素には依存しない。またET_A受容体拮抗薬の長期投与により心不全の改善(生存率の著明な改善や心臓リモデリングの進展の抑制など)が認められた。また、ET拮抗薬の投与は、CHFによる心筋の遺伝子発現(ANP・心筋小胞体CaATPase遺伝子など)の変化を改善し、ゆえに心筋細胞に質的な改善をもたらすことが判明した。以上より、内因性ET-1は心不全の進展に関与しており、ET拮抗薬が新治療薬になり得る可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Seiji Maeda, Takashi Miyauchi, et al.: "Difference in the change in the time course of plasma endothelin1 and endthelin3 levels afler exercise" Life Sciences. vol.61 No.4. 419-425 (1997)
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[Publications] Tsutomu Kobayashi, Takashi Miyauchi, et al.: "Down-regulation of ET_B receptor,but not ET_A receptor,in congestive lung secondary to heart failure." Life Sciences. vol.62 No.2. 185-193 (1998)
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[Publications] Takashi Miyauchi, et al.: "Cloning of hamster preproendothelin-1 cDNA and its expression in the heart" Journal of Cardiovascular Pharmacology. vol.31. S298-S301 (1998)
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[Publications] Satoshi Sakai, Takashi Miyauchi, et al.: "Distribution of endothelin-1 in the lung of rats with pulmonary hypertension of different etiology" International Journal of Angiology. vol.7 No.2. 160-164 (1998)
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[Publications] 宮内 卓, 酒井 俊, 杉下靖郎: "心不全" 篠山重威, 697 (1997)