1996 Fiscal Year Annual Research Report
内皮由来一酸化窒素の生物活性における細胞外SODの意義に関する検討
Project/Area Number |
08670770
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊東 康 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助手 (90221085)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / スーパーオキシドジスムターゼ / 酸化ストレス |
Research Abstract |
[目的]血管内皮細胞由来一酸化窒素(NO)の生物活性(biological activity)は活性酸素により容易に低下することが知られているが,細胞にはsuperoxide dismutase(SOD)などの活性酸素処理機構が存在する.細胞質内のCu,Zn-SODおよびMn-SODに加え,細胞表面および間質には少量の細胞外SOD(EC-SOD)が存在することが知られている.しかし,その生理的意義に関しては明らかではない.そこで本研究では,ヘパリンにより血管壁から遊離するC型EC-SOD(EC-SOD C)について,EC-SODと内皮由来NOの生物活性との関係につき検討した.[方法](1)ヘパリンを投与せずに摘出した家兎大動脈血管リング(対照群)をヘパリン100U/mlを含むKrebs液中で組織培養し,Krebs液中のSOD活性,組織cGMP含量,acetylcholine(ACh),A23187,sodium nitroprusside(SNP)に対する血管拡張反応について,ヘパリンで処理しないものと比較した.また,ヘパリン100U/ml処理前後のKrebs液中のEC-SOD濃度を測定し.(2)家兎(体重2.5-3.0kg)にヘパリン1000単位を静脈内投与し,得られた大動脈血管リング(ヘパリン群)を用い,組織cGMP含量およびAchに対する血管拡張反応につき対照群と比較した.[結果](1)in vitroのヘパリン処理により,Krebs液中のSOD活性は増加した.一方,ACh,A23187に対する内皮依存性血管拡張反応は有意に抑制されたが,SNPによる内皮非依存性血管拡張反応は変化しなかった.組織cGMP含量はヘパリン処理しないリングに比べ有意に低値を示した(1.6±0.2vs.2.4±0.2fmol cGMP/μg protein,p<0.05).一方,Krebs液中のEC-SOD濃度はヘパリン処理により約12倍増加した.(2)AChに対する内皮依存性血管拡張反応は,ヘパリン群で対照群に比べ有意に抑制されていた.また,組織cGMP含量もヘパリン群で対照群に比べ有意に低下していた(1.4±0.2vs.2.5±0.2fmol cGMP/μg protein,p<0.01).[考察]以上より,本研究によりEC-SODは内皮由来NOの生物活性を保つ上で重要である可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)