1996 Fiscal Year Annual Research Report
リゾフォスファチジルコリンによる内膜依存性過分極反応の抑制機構の研究
Project/Area Number |
08670787
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由井 芳樹 京都大学, 医学研究科, 助手 (20158330)
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Keywords | EDHF / 血管内皮細胞 / EDRF / NO / LPC / 血管 / 粥状硬化 |
Research Abstract |
血管内膜(内皮細胞)からは弛緩因子としてPGI2,Nitric Oxide(NO)が産生されるが最近冠動脈に第3の新しい弛緩因子が存在することが明らかになってきた。現在まで、上記二つの物質の研究は大動脈を材料にすすめられてきた。事実、大動脈の弛緩の殆どはNOによると考えられているが冠動脈ではこれらの生理活性物質に対する生合成阻害剤であるindomethacinとN-omega-nitro-L-arginineの投与によっても大部分の弛緩活性は残る。そしてこの弛緩活性は血管平滑筋細胞膜の過分極を伴うことから内膜由来過分極因子(EDHF)と呼ばれる未知の因子によると考えられている。この因子はpotassium channel blockerであるtetrabutylammonium,high KC1で阻害を受けることから内因性のpotassium channel openerと考えられている。これまでに粥状硬化の重要な因子であるLDLがこの因子による冠血管の弛緩反応を抑制することを明らかにした。本年度の研究では抑制機構を豚冠動脈を用いたperfusion-superfusion systenによりLPCは内皮細胞でのEDHF産生を抑制しているのかあるいはLPCは冠動脈平滑筋でのEDHFが作用するのを阻害しているかを明らかにしようと考えた。豚冠血管の内膜を有する物をEDHFのdonor arteryとして用い内膜を除去したものをEDHFの効果を評価するために下に設置しforce transducerをかいして張力を測定した。LPCは上の血管から投与した場合は下の血管の弛緩反応を抑制したが上と下の間からLPCを投与した時は弛緩反応を抑制しなかった。このことから、LPCはEDHFの産生段階で抑制していることが明らかになった。
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[Publications] Ryuichi Hattori 他7名: "Effect of Ebselen on bovine and rat nitric oxide sgnthase activity is modified by thiols" Jpn J Pharmaculogy. 72. 191-193 (1996)
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[Publications] Chuichi Kawai 他12名: "A prospective,randomized,double-blind multicenter trial of a single bolus injection of the novel t-PA" J ACC. (印刷中). (1997)
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[Publications] 服部 隆一 他1名: "内皮型NOS-Friend or Foe?" 別冊医学のあゆみ. 9-12 (1997)
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[Publications] 青山 武 他2名: "NO" 現代医療. 2B. 49-50 (1996)