1996 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁のRemodelingにおける細胞外マトリックスとマクロファージの役割
Project/Area Number |
08670795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
益田 順一 島根医科大学, 医学部, 教授 (70173747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐙谷 武雄 国立循環器病センター研究所疫学部, 室員 (80270726)
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Keywords | 血管形成術 / ステント / マクロファージ / サイトカイン / 細胞外マトリックス / デコリン / バイグリカン |
Research Abstract |
【方法】家兎を普通餌又はコレステロール含有餌下に飼育し、胸部下行大動脈にステンレス製self-expandable型GianturcoZステントを留置した。術後2日から2ケ月まで経時的に屠殺し標本を摘出し、種々の細胞外マトリックス(ECM)成分に対する免疫染色を行い、肥厚内膜における平滑筋細胞(SMC)のフェノタイプ(SMemb:胎児型、SM2:成人型)との対比検討を行った。さらにデコリン、バイグリカン、TGF-β及びIL-1βの遺伝子の発現部位とその時期をin situ hybridization法で検討した。 【結果】(1)普通餌兎では、ステントワイヤーによって傷害された血管の中膜でSMCが脱分化・増殖した後、ワイヤーを薄く覆うように新生内膜が形成されたが、この内膜肥厚は留置後14日でほぼ停止し、その後胎児型SMCから成人型SMCへの再分化が認められ、マクロファージやデコリンの集積はほとんど認められなかった。また、TGF-β及びバイグリカンのmRNAはステントワイヤーによって傷害された中膜の周囲に7日目に一過性に発現を認めたが、56日目にはほぼ消失した。(2)一方、高脂血症兎では、ステント留置後持続的な内膜肥厚を示し、胎児型SMCが優位であった。また、ステントの周囲にはマクロファージの集積が認められ、遺伝子発現の検討では7日目にワイヤーを囲むように、TGF-β、バイグリカン、IL-1βのmRNA発現が認められ、また、56日目にはワイヤー周囲のマクロファージに一致してIL-1βmRNAが強く発現、またデコリンのmRNAもこのIL-1β遺伝子の発現部位に隣接するように発現していた。 【結論】ステント留置後の新生内膜におけるECMは内膜の主要な構成成分として重要であるばかりでなく、一部のECMはTGF-βとの相互作用を介してSMCの増殖やフェノタイプの変化とも密接な関連性を持ち、内膜肥厚の進展に関与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Zen K,Masuda J,Ogata J: "Monocyte-derived macrophages prime peripheral T cells to undergo apoptosis by cell-cell contact via ICAM-1/LFA-1-dependent mechanism." Immunobiology. 195. 323-333 (1996)
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[Publications] Abumiya T,Mausda J,Kawai J,Suzuki T,Ogata J: "Heterogeneity in the appearance and distribution of macrophage subsets and their possible involvement in hypertensive vascular lesions in rats." Laboratory Investigation. 75. 125-136 (1996)
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[Publications] 益田順一: "アテローム硬化と血栓形成 -動脈原性脳塞栓症における意義-" 脳と循環. 1. 303-309 (1996)
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[Publications] 山川智之、白鴻志、益田順一 他: "血管内ステント留置後の新生内膜形成におけるプロテオグリカン及びTGF-Bの動態の検討" 動脈硬化. 24. 565-568 (1997)
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[Publications] 野津吉友、並河徹、益田順一、小林祥泰: "無症候性脳梗塞の危険因子としての血清アポ蛋白(a)フェノタイプの解析" 臨床病理. 45. 122-126 (1997)