1996 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧性動脈硬化進展の分子機構 -細胞肥大における転写因子の役割-
Project/Area Number |
08670818
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
根来 伸夫 大阪市立大学, 医学部, 助手 (80180701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 幹夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (90169144)
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Keywords | 血管平滑筋 / 高血圧 / 肥大 / 転写因子 / STAT |
Research Abstract |
1)培養血管平滑筋細胞の肥大における転写因子の関与 a) Sprague-Dawleyラットの胸部大動脈の中膜からexplant法により血管平滑筋細胞(VSMC)を分離培養した。 b) angiotensin II (A II)により肥大させた培養VSMCに、multilamellar vesicle (MLV)化したcationic liposeme (Gene Transfer)を用いて、転写因子Sp1、STAT1、STAT2に対応したDNA decoyの細胞内導入を行った。VSMCの肥大おける影響を検討する。対照としては、vehicleおよびnonsense DNA decoyを用いる。 c)肥大に対する影響を検討したところ、^3H-thymidineのuptakeは、約80%に減少し、^3H-leucineのuptakeも約85%に減少し、VSMCの肥大にSTAT系転写因子の関与が示唆される。 2)高血圧自然発症ラットの高血圧性動脈硬化病変における、STAT1、STAT2の関与 a) 15週齢の高血圧自然発症ラット(SHR)の胸部大動脈中膜を分離し、既報の方法によりヒストンを除去した細胞抽出液を準備した。 b) STAT1、STST2の認識配列であるinterferon stimulated response element (ISRE)、interferon γ-activation site (GAS)、sis-inducible element (SIE)を含む2本鎖DNAをプローブとしてgel shift assayを行い、各転写因子量を測定した。 c) PDGFのA鎖の遺伝子発現をRNase protection assayにより測定した。 d)体重に対する胸部大動脈の重量の比を計算して肥大計数とし、約20%の増加を認めた。GASならびにSIE配列結合性の転写因子は約20%の増加を認め、PDGFのA鎖の遺伝子発現量は約30%増加した。STAT系転写因子は高血圧性動脈病変に関与する可能性が示唆される。
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