1997 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧性動脈硬化進展の分子機構-細胞肥大における転写因子の役割-
Project/Area Number |
08670818
|
Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
根来 伸夫 大阪市立大学, 医学部, 助手 (80180701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 幹夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (90169144)
|
Keywords | 高血圧 / 動脈硬化 / 分子機構 / 細胞肥大 / 転写因子 |
Research Abstract |
1.培養血管平滑筋細胞の肥大における転写因子の関与 (1)angiotensin II (AII)により肥大させたSprague-Dawleyラットの培養血管平滑筋細胞(VSMC)に、cationic liposemeを用いて転写因子Sp1と、STATI、STAT2の認識配列であるISRE、GAS、SIEの対応したDNA decoyの細胞内導入を行い、対照としては、random DNA decoyを用いた。 (2)Sp1、ISRE配列、ISE配列またはGAS配列を持つ0.2μM濃度のDNA decoyの導入により、AII刺激後の培養VSMCにおける3H-leucineの取り込みはそれぞれ減少し(69%,58%,66%,41%)、これらの減少はdecoyの濃度に依存的であった。同時に、PDGFのA鎖のmRNA量および3H-thymidineの取り込みも減少したが、random配列のDNA decoyの導入では以上の変化は認めなかった。VSMCの肥大にSTAT系転写因子の関与が示唆された。 2.高血圧自然発症ラットの高血圧性動脈硬化病変における、STAT1,STAT2の関与 (1)15週齢の高血圧自然発症ラット(SHR)の胸部大動脈中膜において、ISRE、GAS、SIEを含む2本鎖DNAをプローブとして、各転写因子量を測定した。 (2)GASならびにSIE配列結合性の転写因子は約20%の増加を認め、PDGFのA鎖の遺伝子発現量は約30%増加し、これらの増加はAII受容体拮抗薬により抑制された。STAT系転写因子は高血圧性動脈病変に関与する可能性が示唆された。 3.SHRの大腿動脈へのDNA decoyの細胞内導入による高血圧性動脈硬化病変の変化 (1)SHRの大腿動脈にISRE配列、SIE配列またはGAS配列をもつDNA decoyを導入した結果、血圧の変化は伴わずにhypertrophy indexはそれぞれ減少した(85%,88%,81%)。 (2)組織学的な検討では各DNA decoyの投与により、動脈中膜の断面積の減少(〜10%)を認めた。Random配列のDNA decoyの導入では以上の変化は認めなかった。高血圧性動脈壁肥大の進展にはAIIを介したJak/STAT系の関与が示唆された。
|
-
[Publications] Negoro,N.,et al.: "Transcription factors for PDGF-A chain gene closely mediated hypertensive vascular hypertrophy in vitro and in vivo." J.Hypertension. 14. S32-S32 (1996)
-
[Publications] Nobuo Negoro,et al.: "Transcription factors for PDGF-A chain gene closely mediated hypertensive vascular hypertrophy in vitro and in vivo." Circulation. 94. I-739-I-740 (1996)