1998 Fiscal Year Annual Research Report
心筋症ハムスターのADP/ATP担体蛋白異常における分子生物学的・免疫学的解析
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08670827
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Research Institution | The Jikei University, School of Medicine |
Principal Investigator |
林 裕作 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30266671)
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Keywords | ADP / ATP担体蛋白 / 心筋収縮 / 心筋症ハムスター / 糖尿病性心筋障害 / 遺伝子発現 / ADP / ATP担体遺伝子 |
Research Abstract |
目的 ミトコンドリアに存在する、ADP/ATP担体蛋白(AAC)は心筋収縮のエネルギー供給に関連する重要な蛋白である。ヒト心筋症の心で蛋白発現が抑制されることが知られており心臓疾患の原因の一つと考えられる。 本研究補助金のもと、心筋症ハムスター(J-2-N)、および腎高血圧ラット肥大心筋中でこのAAC蛋白発現が著明に減少することを見いだした。本年度は引き続きAAC蛋白のクローニングを行うともに、心臓疾患との関与を検討するために糖尿病性心筋障害とAAC蛋白の量的な変化が生じるかどうか検討した。 方法・結果 心筋症ハムスター及びコントロールとしてGolden hamster心筋よりtotal RNAを抽出、oligo dT セルロースカラムによりm-RNAを分離した。cDNA Synthesis System Plusによりハムスター心筋cDNAライブラリーを作成、ヒトAAC DNA配列をもとにプライマーを作成、遺伝子増幅を行い、plaqueハイブリダイゼーション法によりAAC遺伝子をクローニングした。その結果AAC遺伝子は897bpのcoding regionを持っていた。streptozotocin(60mg/kg)を静注し糖尿病ラットを作成、8、24週後に採血および心臓を採取した。左室心筋よりミトコンドリアを分離、AAC蛋白をeosin-5-maleimide(EMA)にて蛍光標識し電気泳動後、デンシトメータによりAAC含有量を測定した。 コントロール群でAAC含有量は12.1±0.21%(mean±SE)にたいし糖尿病群では14.3±0.44(p<0.01)と有意な増加を認めた。また24週では15.2±1.35(p<0.05)と有意な増加を認めた。 考察 AAC蛋白の遺伝子のクローニングに成功したことによりに様々な心筋障害によるエネルギー産生の変化について新たな検討を出来うると考える。また心筋症ハムスターや糖尿病性心筋症などの疾患モデルにおいてAAC蛋白の発現量の変化が認められ、特に不全心などの機能障害の一因としてと,AAC蛋白の発現増加・減少とが関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)