1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達機構阻害剤を用いた血管リモデリングの分子機構の検討
Project/Area Number |
08670842
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
下門 顕太郎 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (30192115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斯波 真理子 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (70271575)
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Keywords | 血管平滑筋 / ケモタキシス / イノシトールリン脂質 / 阻害剤 / PDGF / phosphatidylinositol 3-Kinase |
Research Abstract |
【目的】血管平滑筋の増殖・遊走の分子機構を解明する一環として、PDGFによる遊走・増殖におけるphosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)の役割を検討した。【方法】培養ラット大動脈平滑筋にたいするPDGFの作用発現におけるPI3Kの役割を特異的PI3K阻害剤(wortmanin[WT]およびLY294002[LY])およびdominant negative PI3Kを用いて検討した。遊走はBoyden chamberを用いて調べた。免疫沈降によりPI3Kを部分精製し、phosphatidylinositolを基質としてPI3K活性を測定した。PDGFによる細胞骨格の変化に対するWTの効果についてはTRICT-phalloidin染色により検討した。糖取り込みは3H-deoxyglucoseを用い、アミノ酸取り込みは3H-leucine,3H-arginine、3H-prolineを用い、またDNA合成は3H-thymidineを用いて計測した。【結果】WT(10-9-10-6M)およびLY(10-5M)はPDGFによる平滑筋およびSwiss 3T3細胞の遊走に影響を与えなかった。この濃度のWTはPDGFによるPI3K活性化を濃度依存的に抑制した。さらに、dominant negative PI3Kを過剰発現させたCHO細胞(CHO/Δp85 cells)はPDGFにより親株細胞と同程度に遊走した。一方、WTはPDGFによるSwiss 3T3細胞のstress fiberの消失を濃度依存的に抑制した。また3種類の異なるアミノ酸取り込みはWTにより完全に阻害された。PDGFによる糖取り込みおよびDNA合成促進は、WTにより部分的に阻害された。【考察】これまで、PDGFによる細胞遊走作用にはPI3Kの活性化が不可欠であるとされてきたが、我々の研究により血管平滑筋遊走の細胞内情報伝達経路にはPI3Kが関与していないことが判明した。これは、同じ増殖因子であっても、細胞種が異なると、細胞内情報伝達系路が異なることを示している。PI3KはPDGFによるアミノ酸取り込みやDNA合成に関与することで、動脈硬化や高血圧の血管病変形成に関与しうる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Higaki M.,Sakaue H.,Ogawa,Kasuga M.Shimokado K.: "Phosphatidylinositol 3-kinase-independent signal transduction pathway for PDGF-induced chemotaxis." J Biol Chem. 271. 29342-29346
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[Publications] Shimokado,K.,Higaki,M.: "Signal transduction for PDGF-induced chemotaxis of Vascular Smooth muscle cells" Ann.NY Acad.Sci.(in press).