1996 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム解析によるA群溶連菌の病原性とその変化に関する研究-Toxic shock-like syndromeの原因究明を中心に-
Project/Area Number |
08670845
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
室野 晃一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80219956)
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Keywords | A群溶連菌 / 劇症型感染症 / ゲノムDNA / パルスフィールド電気泳動 / 病原性 |
Research Abstract |
1979年〜1991年に非化膿性合併症、敗血症などの重症感染症患者から分離されたA群溶連菌28株(T血清型:1型10株、4型6株、3型4株、12型3株、18型2株、その他3株)、1992年〜1994年にTSLSを中心とした重症感染症患者から分離された29株(T血清型:1型17株、3型12株)、1982年〜1990年に咽頭炎患者から分離された29株(T血清型:1型22株、3型7株)の合計86株について調べた。溶菌して抽出したゲノムDNAを制限酵素SmaIで消化後、PFGEによるRFLPでそのゲノムプロファイルを比較検討した。1991年以前に非化膿性合併症、重症感染症患者から分離されたT1型の株のゲノムプロファイルは1株を除いてすべて同じであった。またこれらは同時期に咽頭炎患者から分離されたT1型のゲノムプロファイルと同じであった。他の血清型の株についてもそれぞれの血清型に依存しており、すなわち血清型が同じであればゲノムプロファイルもほぼ同一であった。1992年以降にTSLS、重症型患者から分離されたT1型、T3型の株のゲノムプロファイルはそれぞれ同一であった。T3型では1991年以前と1992年以降の株のプロファイルは同じであったが、T1型では1992年以降の分離株のゲノムプロファイルはそれ以前と明らかに異なっていた。わが国では1992年以降にTSLSのような重症感染症の報告が増加してきており、この時期に一致したこうしたT1型溶連菌のゲノム変化がその要因の1つとして関与している可能性が示唆された。今後さらにT1型の株を中心に検討を進める予定である。
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Research Products
(2 results)