1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア病におけるミトコンドリアDNAのヘテロプラスミ-の病態解明
Project/Area Number |
08670849
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮林 重明 東北大学, 医学部, 助教授 (20174203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 篤 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20292336)
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Keywords | ミトコンドリア病 / ヘテロプラスミ- / 変異ミトコンドリアDNA / MELAS / Leigh脳症 / segregation |
Research Abstract |
ミトコンドリア病はミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異が主因であるが、患者は変異mtDNAと正常mtDNAのヘテロプラスミであり、それが病態の違いに深く関与していると考えられる。そのヘテロプラスミの割合が変異の部位により異なることを見いだした。研究方法はtRNAに変異を持つ群としてMELAS、MERRFの病因変異の各々A3243G変異、A8344G変異と蛋白をコードする部位の変異を持つ群として、NARPやLeigh脳症の病因変異のT8993G変異に注目し、これらの変異を持つ患者の剖検組織、および生検筋組織、血液、尿沈渣細胞等の変異の割合を検討した。また培養線維芽細胞の一個毎の細胞間の変異率の違いをPCR法で検討した。さらに長期継代培養で変異率の変化を検討した。 その結果、tRNAに変異を持つ群は各組織毎の変異率が大きく違っており、とくに増殖系細胞群(血球、培養細胞、皮膚、脾臓)では変異率が低く、まったくランダムなsegregationを受けていることがわかった。しかし蛋白をコードする群の変異は増殖系を含め組織毎の変異率にはほとんど差を認めず、家族検索でも固体間の差は認めるが、組織間の差を認めなかった。つまり変異部位により組織特異性を認める群と組織特異性を認めない群とがあることが判明した。次に培養細胞を用いて個々の細胞の変異率を検討した結果、tRNAに変異を持つ群の細胞毎の変異率は大きく違っており、蛋白をコードする群での細胞毎の変異はもほとんど差を認めなかった。この事から、蛋白をコードする群の変異は受精卵早期にsegregationが完成し、細胞毎の差を認めないと考えられた。また継代培養ではtRNAに変異のある群では培養を繰り返すことにより変異率が低下したが、蛋白コードに変異のある群では変異率はほとんど変化しなかった。
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