1996 Fiscal Year Annual Research Report
小児心筋障害の心電図再分極相の解析による定量的診断法の開発及びその成因の解明
Project/Area Number |
08670859
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和泉田 直己 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (70193381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 優 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30222590)
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Keywords | 心筋障害 / 再分極 / QRST積分値図 |
Research Abstract |
初年度は、主に健常小児でのQRST積分値図の各年齢相での所見を明らかにした。15歳までの健常小児60例のQRST積分値図の特徴を検討した。積分値図はほぼ類似の所見を示すものの、年齢に違いがあることが判明した。すなわち、いずれの年齢においても、積分値の極大と極小は一つずつのみ存在し、極大は左前胸部の左鎖骨中線から左中腋窩線の間に必ず位置した。極小の位置は年齢によって異なり、乳幼児期では、正中部から右前胸部上方にかけて広くほぼ均等に分布していたが、年齢が増すにつれて右前胸部または右背部の上方に位置する例が多くなり、12-15歳の年長児では、10例中8例の極小がこの位置にあった。この極小の位置の変化に伴ってQRST積分値図の正領域・負領域の分布も変化し、一般に年齢が増すにつれて、極小右方偏位に伴って、前胸部の正領域が正中線を越え右方に広がっていく傾向がみられた。このように、小児健常例でQRST積分値図は極大・極小はそれぞれ一つであるなど類似性はあるものの、年齢による変化もあることが示され、本図による異常の有無の判定については、年齢を考慮する必要があることが判明した。臨床所見および心筋シンチグラムで明らかな心筋障害がみられた川崎病症例でのQRST積分値図所見は、極大・極小の位置や正領域・負領域の分布が同年齢層の所見と明らかに異なっていた。このことは、QRST積分値図は心筋障害による変化を検出しうると考えられるが、その評価法は今後の課題である。また、脚ブロックなど心室伝導異常例では、従来の心電図では再分極異常の有無の判定が困難とされてきたが、心室性期外収縮の5例で正常伝導と異常伝導のQRST積分値図を比較したところほぼ同じ所見が得られ、伝導異常を有する場合にも、本図による解析が利用できる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)