1996 Fiscal Year Annual Research Report
Fas誘導性アポトーシス細胞死における活性酸素の意義
Project/Area Number |
08670862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
笠原 善仁 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (30204366)
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Keywords | アポトーシス / Fas / 活性酸素 / カタラーゼ |
Research Abstract |
好中球は貪食細胞として感染防御において主要な役割を果たし、その細胞内で産生される活性酸素は貪食した細菌の殺菌に必要不可欠である。リンパ球や単球と比較すると好中球は生体内では血中半減期は短くかつ培養系においても速やかにアポトーシスに至り、生体内では好中球が主たる産生源である活性酸素はリンパ球細胞株のアポトーシスを誘導し、過酸化水素を分解する酵素のカタラーゼはアポトーシスを抑制する。好中球自身が産生する活性酸素のアポトーシスにあける重要性を活性酸素の産生欠如が主病因である慢性肉芽腫症(CGD)患児の好中球を用い検討し好中球アポトーシスのCGD病態形成への意義を検討した。正常好中球のほとんどがin vitroで24時間以内にアポトーシスに陥り抗Fas抗体の添加により増強を受けるのに対し、CGD好中球では全くアポトーシスは認められず抗Fas抗体による増強も僅かであった。カタラーゼを添加することにより産生されるH_2O_2を分解すると好中球アポトーシスは濃度依存性に抑制され、抗Fas抗体のアポトーシス増強作用も減弱した。DHR123を用い好中球のH_2O_2産生を検討すると正常好中球では培養のみで経時的にその産生は増強するものの抗Fas抗体の添加では増強されず、CGD好中球での産生は全く認められなかった。一方、CGD好中球をH_2O_2存在下で培養すると正常好中球に匹敵する程度のアポトーシスがみられ、抗Fas抗体もそのアポトーシスを増強した。好中球のアポトーシスは好中球自身の産生する活性酸素により強く影響され、慢性肉芽腫症好中球のアポトーシス抵抗性は感染の遷延慢性化、肉芽腫の形成といった慢性肉芽腫症の病態形成に強く関与していると考えられる。
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[Publications] H.Kanegane,Y.Kasahara: "Expression of L-selectin (CD62L) discriminates Thl-and Th2-like cytokine producing populations among human memory CD4^+ T cells." Immunology.87. 186-190 (1996)
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[Publications] Y.Kasahara,et al.: "Involvement of reactive oxygen intermediates in spontanous and CD95 (Fas/APO-!) -mediated apoptosis of neutrophils." Blood. 89(5). (1997)
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[Publications] 谷口昴,笠原善仁,他: "リンパ球増殖症候群兄妹例におけるFas(CD95)抗原変異." 厚生省特定疾患免疫不全症候群調査研究班平成7年度研究報告書. 122-126 (1996)
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[Publications] 大野一郎,笠原善仁: "Fas異常とヒトリンパ球増殖症候群" 臨床免疫. 28(6). (1996)
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[Publications] 東馬智子,笠原善仁,他.: "アレルギー症患にみられる好塩基球IgE結合状態のフローサイトメトリー法による評価" アレルギー. 15(7). 627-636 (1996)