1997 Fiscal Year Annual Research Report
先天性腎および心疾患におけるPAX2遺伝子異常の分子遺伝学的検討
Project/Area Number |
08670888
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌田 政博 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (30233927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺岡 通雄 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
横山 裕司 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00240226)
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Keywords | PAX2 / ONCR / FISH |
Research Abstract |
Optic nerve coloboma-renal disease(ONCR,MIM No120330)は、視神経異常(朝顔状の乳頭変性)、腎異常(低形成、慢性腎不全、慢性糸球体腎炎)を主症状とする常染色体優性遺伝形式を示す疾患である。我々は、散発性の均衡型染色体相互転座t(10;13)(q25;q13)を有する本症候群を経験し、腎、眼球異常を同時に合併することに着目した。一方、PAX2遺伝子は発生を調節する転写制御因子で、胎生期の腎臓(尿管上皮細胞、腎上皮細胞)、中枢神経系、眼球などに発現する。そこで、本症例において、PAX2遺伝子異常を分子遺伝学的手法にて検討したところ、 (1)PAX2遺伝子を含むYACによるFISH解析にて、本症例での転座切断点はPAX2遺伝子内に存在すること、すなわち、本症例では、染色体相互転座によるPAX2遺伝子の再編成が腎および視神経異常の原因である。 (2)PAX2遺伝子は染色体10q24.3および10q25.1の接合部に局在する。 ことなどを解明した。(Journal of Medical Genetics,1997;34:213-216) 先天性腎および心疾患の成因は多くの症例で不明であるが、ONCRは心奇形の合併も多く、PAX2遺伝子が腎臓のみならず心臓の発生に深く関与している可能性が強い。我々が解明したONCRにおけるPAX2遺伝子の異常は、今後、原因不明の先天的腎および心疾患の原因解明の端緒になるものと考える。
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