1996 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞に対するアセチルサリチル酸の作用-ライ症候群発生に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08670898
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
倉繁 隆信 高知医科大学, 医学部, 教授 (50117032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 隆士 高知医科大学, 医学部, 講師 (20207632)
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Keywords | Hep G2細胞 / アスピリン / 活性酸素 / Cu,Zn-SOD / Mn-SOD |
Research Abstract |
Hepatocarcinoma cell lineのHepG2にアスピリン(Asp)を終濃度がそれぞれ、0、10、30、90mg/dlとなるように添加し、増殖、アルファフェトプロテイン(AFP)の産生をみたところ、増殖はAspの濃度依存性に減弱し、90mg/dl添加では増殖は見られなくなった。増殖と相関してAFPの産生も抑制されることが判明した。Aspの作用でミトコンドリアの電子伝達系は脱共役反応を起こし、この過程で活性酸素の発生が確認できた。Aspによる肝細胞障害の発生機序の一つに、この活性酸素の毒性が考えられたが、活性酸素の消去酵素であるsuperoxide dismutase(SOD)の発現をmRNAレベルで検討した。 Cu、Zn-SODはAsp濃度を0、10、30mg/dlと増加させても発現量はほぼ一定であり、90mg/dlで、ほとんど発現はみられなくなった。これに対し、Mn-SODはAsp濃度が0、10、30mg/dlと上がるのに対し濃度依存性に誘導されることが判明した。しかしAsp濃度が90mg/dlになるとMn-SODの発現は見られなくなった。これはAspの直接の毒性により肝細胞が障害を受けた結果であることも否定できないが、肝細胞にAspを作用させると組織障害性の活性酸素が発生し、その刺激に対応して、消去酵素の一つであるMn-SODが誘導され、反応していたが、活性酸素の増加に対応しきれなくなり、枯渇したと考えられた。以上からAspによる肝障害発生の原因の一つとして活性酸素の発生が考えられ、このAsp依存性活性酸素からの主な防御はMn-SODが担っていると考えられた。
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