1997 Fiscal Year Annual Research Report
β-ヘキソースアミニダーゼ・βサブユニットの遺伝子異常と臨床症状について
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08670905
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Research Institution | Osaka city University |
Principal Investigator |
田中 あけみ 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30145776)
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Keywords | β-ヘキソースアミニダーゼ・βサブユニット / GM2-ガングリオシドーシス / 遺伝子解析 / スプライス異常 / ラリアット |
Research Abstract |
β-ヘキソースアミニダーゼ・βサブユニット遺伝子は、GM2-ガングリオシドーシスO型の原因遺伝子として知られている。GM2-ガングリオシドーシスO型の患者5名について遺伝子解析を行ない、以下のとおり病因となる遺伝子変異を明らかにするとともに、3'スプライス部位の選択性およびスプライス反応の機構について検討した。 1、1名の若年型患者で、P417LとK121Rのdouble mutationがホモ接合体で見つかった。1名の乳児型患者で、P417L、K121Rのdouble mutationとP417L、K121R、S255Rのtriple mutationが複合ヘテロ接合体で見つかり、1名の乳児型患者で、P417L、K121R、S255Rのtriple mutationがホモ接合体で見つかった。cDNAによる遺伝子発現実験では、上記のdouble mutationは正常の60〜70%の酵素活性が保たれており、triple mutationでは20〜30%の活性であった。若年型と乳児型の臨床症状の差は、このことに起因すると推測された。 2、2名の乳児型患者で、イントロン10の-17位に点変異(A→G)が見つかったがエクソン内には変異は見つからなかった。 3、(1)のP417Lおよび(2)のイントロン10の点変異は、いずれもイントロン10の3'スプライスに異常を来たすことが患者の培養細胞で認められた。このことはさらに、イントロン10をcDNAに組み込んだmini-geneを用いてCOS細胞で発現させることによって、実験的に証明された。 4、(2)のイントロン10の点変異は、イントロン10-エクソン11の接合部のスプライス・スコアを高くしてもスプライス効率は上がらなかった。さらに、この周囲の塩基配列は、スプライス反応の際の分枝形成部(ラリアット)のコンセンサス配列に矛盾せず、-17Aは、まさにスプライス反応の分枝部であろうと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田中 あけみ: "ガングリオシドーシス" 小児内科. 28・増刊. 373-378 (1996)
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[Publications] Kobayashi T,Kuraoka I,et.al: "Mutations in the XPD gene leading to xeroderma pigmentosum symptoms." Human Mutation. 9(4). 322-331 (1997)
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[Publications] 田中 あけみ、他: "検査値のみかた" 中外医学社, 877 (1996)