1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670910
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
稲葉 俊哉 自治医科大学, 医学部, 講師 (60281292)
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Keywords | 神経芽腫 / 難治性小児癌 / N-myc / max / ドミナント・ネガティブ蛋白 / アデノ随伴ウイルス |
Research Abstract |
神経芽細胞腫をはじめとする難治性小児固形腫瘍の遺伝子治療の開発に向けて、標的因子、遺伝子導入の二方向から検討を行った。 標的因子では、神経芽細胞腫のN-mycを対象にして、maxのドミナント・ネガティブ蛋白を用い、c-mycやL-mycに影響を及ぼすことなくN-myc特異的にその機能を抑制する試みを行った。そのためには、maxのロイシンジッパー部分のアミノ酸を変換し、電荷の状態を変えることによってc-mycやL-mycとの親和性を失わせる一方、塩基性ドメインの配列を変え、DNA結合力を失わせる必要がある。この様な変異蛋白を三種類合成した。試験管内では理論どうりN-mycの機能を抑制したが、細胞内に導入しても十分な増殖抑制効果は認められなかった。その原因として、野性型のmaxに比較してN-mycとの結合力が弱い点が考えられたため、maxのヘリックス-ループ-ヘリックス部分の構造を改変して、この点を克服する努力を続けている。 遺伝子導入の点からは、毒性や扱いやすさの点からアデノ随伴ウイルス(AAV)をベクターとして使う可能性を検討した。AAVの遺伝子導入効率では、神経膠芽腫やユ-イング肉腫、横紋筋肉腫などで良好であったが、神経芽腫、網膜芽腫等では不良であった。現在神経膠芽腫とユ-イング肉腫を対象に、標的遺伝子をp16とEWS-FLIに置き、予備的な検討をはじめている。神経膠芽腫では、p16をAAVで導入することによって細胞のアポトーシスがみられるとの中間的な結果が得られている。
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