1996 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎炎進行因子としてのレニン-アンギオテンシン系遺伝子の関与
Project/Area Number |
08670920
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
栖原 優 日本大学, 医学部, 講師 (60171295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 正彦 日本大学, 医学部, 助手 (20227416)
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Research Abstract |
今年度の研究において対象とした症例は、当科腎臓外来受診者の中でIgA腎症10症例、無症候性血尿10症例、微量アルブミンを伴った小児糖尿病(IDDM)2症例であった。患者血液より白血球を分離しゲノムDNAを抽出した後、これを材料としてアンギオテンシン変換酵素遺伝子のイントロン16の挿入/欠失の多型性についてPCR法を用いて検討した。また、アンギオテンシノーゲン遺伝子の変異についてもPCR法、SSCP法を用いて検討した。その結果、アンギオテンシン変換酵素遺伝子の多型性についてはD/D、D/I、I/Iの症例数は、IgA腎症において4例、4例、2例、無症候性血尿において4例、5例、1例と疾患による相違は認められなかった。なお、糖尿病症例ではD/D、D/Iが各1例であった。一方、アンギオテンシノーゲン遺伝子の変異については、M235、M235T、T235の症例数は、IgA腎症と無症候性血尿のいずれにおいても各々4例、4例、2例であった。以上の如く、今回検討を行った2種類の遺伝子多型については、現在までの症例においては疾患毎の頻度の差は認められず、過去に報告されている正常者例との差も認められなかった。次年度以降は検討症例数を増やすと共に、これらの遺伝子多型の他にアンギオテンシン受容体遺伝子の変異についても検討を加える。また、これらの遺伝子多型と臨床経過との比較検討も行う。さらに無症候性血尿症例については経過観察を行い、特定の遺伝子多型が腎炎発症の予知因子となりうるのか否かを検討する。
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