1996 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光測定装置を用いた新生児虚血性脳障害の病態解明と予防に関する実験的研究
Project/Area Number |
08670928
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山下 裕史朗 久留米大学, 医学部, 助手 (90211630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 義比古 久留米大学, 医学部, 助手 (70258474)
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Keywords | 近赤外分光測定装置 / 新生児脳障害 / インドメサシン / 過換気 / 脳室周囲白質軟化症 / 脳虚血 |
Research Abstract |
平成7年度に近赤外分光測定装置(NIRS)を用いた新生仔豚の脳内酸化、還元ヘモグロビン、cytochrome oxidase(酸化Hb,還元Hb,Cyt aa_3)の非侵襲的モニター法を確立した。さらに新生児動脈管開存症の治療に用いられているインドメサシン(INDO)静注と過換気下での脳循環に及ぼす影響について平成8年度も検討してきた。 [対象と方法]7-10生日の新生仔豚10匹(INDO投与群5匹、コントロール5匹)に気管切開、人工換気を行い、全身麻酔下で、血圧、酸素飽和度、End-expiratory CO_2、血液ガスを経時的にモニターした。NIRO-500(浜松Photonics社製)を用い、豚の側頭部にoptodeを固定遮光し、酸化Hb、還元Hb,総Hb(酸化Hb+還元Hb),Cyt aa_3を連続測定した。定常状態(SS),INDO(0.2mg/Kg)または生理食塩水静注後1,5,15分、過換気開始後5,15分で血液ガス測定し、20分づつモニターした。 [結果]両群間で体重,Hb,HR,pH,pCO_2に有意差なし。平均動脈圧はINDO静注1分後にコントロールと比べて上昇傾向あり(P=.0669)。酸化Hbは、INDO投与直後から低下し、1,5,15分後も低値(P<.01),過換気後(pCO_2=20mmHg)もSSと比べて低値(P<.05)。コントロールでは、SSと比べて過換気5分のみ低下傾向(P=.0126)。両群の比較ではINDO静注1,5分でコントロールよりも低値(P<.01)、15分で低下傾向(P=.0558)。脳血液量を反映する総Hbは、酸化Hbと同様の変化に加え、過換気15分でも低下傾向あり。還元Hbは、INDO群では経時的変化なし。コントロール群で過換気5,15分後、SSと比べて増加傾向、両群間では有意差なし。Cyt aa_3は、両群とも有意な変化を認めなかった。 [考察および結論]INDO投与後の酸化Hb,総Hb低下は、脳動脈収縮による脳血流低下によるものと考えられる。INDO投与群で過換気を行った場合、総Hbが低い傾向があり、hypocarbiaにより、脳血流低下が増強した可能性が否定できない。しかしながら、cyt aa_3の変化は認められなかった。INDOによる持続的な脳血流低下や過換気による変化がNIRSでモニター可能であり、NIRSをベッドサイドで用いることにより脳障害予防に役立てることが可能と考える。
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