1998 Fiscal Year Annual Research Report
酵素蛋白質の構造解析と分子設計:遺伝性代謝病の病態解明と治療法開発への応用
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08670932
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Research Institution | The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
桜庭 均 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 研究員 (60114493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加瀬 良一 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 研究員 (20150203)
新本 美智枝 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 研究員 (20216237)
伊藤 孝司 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 研究員 (00184656)
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Keywords | α-ガラクトシダーゼ / ファブリー病 / メタノール資化酵母 / X線結晶構造解析 / 保護蛋白質 / ガラクトシアリドーシス / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
1. α-ガラクトシダーゼのX線結晶構蓬解析とそのファブリー病研究への応用メタノール資化酵母を用いて、ヒトα-ガラクトシダーゼの発現系を作製し、その3次構造の解明を試みた。この系で発現したα-ガラクトシダーゼは、生体内におけるものと同様に、ホモダイマーの形をとった。精製した酵素を結晶化し、重原子同型置換体を用いて初期位相を決定し、構造の初期モデルを組み立て、分解能2.6Aで精密化を行った。その結果、ヒトα-ガラクトシダーゼは、N一末端側の約290残基か6成るバレル構造のメインドメインと、C末端側の約100残基から成る逆平行β-シート構造のサブドメインにより構成されることが明らかになった。また、酵素と阻害剤の複合体結晶の解析により、触媒残基上基質特異性を担う部位が特定され、これらがメインドメインのC末端側に存在することが示された。ヒトα-ガラクトシダーゼは、ダイマーを形成し、サブドメインの存在で、そのインターフェイスが広がっていた。この構造決定により、ファブリー病の病態解明と薬剤開発への応用が期待できる。 2. ガラクトシアリドーシスの病因遺伝子変異による保護蛋白質の構造変化 ガラクトシアリドーシスの患者で新たに同定された保護蛋白質遺伝子上のK453E変異に基づく蛋白質分子の構造変化を解析した。プロテインデータバンクに登録されたヒト保護蛋白質のX線結晶構造情報を基に、エネルギー最小化計算などのコンピュータ処理を行った。その結果、K453Eにより、保護蛋白質のダイマー形成での安定性が失われることが予想された。生化学的解析の結果と合わせて、患者細胞では、変異保護蛋白質は成熟体にプロセスされずに分解を受けると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Okumiya,T.: "α-Galactosidase gene mutation and its expression product in an asymptomatic Fabry hemizygote with reduced α-galactosidase activity." Hum.Mutat.Suppl.1. S213-S214 (1998)
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[Publications] Hara,A.: "Adult Sandhoffs disease:R505Q and 1207V substitutions in the HEXB gene of the first Japanese case." J.Neurol.Sci. 155. 86-91 (1998)
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[Publications] Kase,R.: "Immunobistochemical characterization of transgenic mice highly expressing human lysosomal α-galactosidase." Biochim.Biophys.Acta. 1406. 260-266 (1998)
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[Publications] Itoh,K: "Stabilizing effect of lysosomal β-galactosidase on the catalytic activity of protective protein/cathepsin A secreted by human platelets." Biochem.Biophys.Res.Commun.253. 228-234 (1998)
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[Publications] Sakuraba,H.: "GM2 gangliosidosis AB variant: Clinical and biochemical studies of a Japanese patient." Neurology. 52. 372-377 (1999)
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[Publications] Utsumi,K.: "Urinary excretion of the vitronectin receptor(integrin αvβ3)in patients with Fabry disease." Clin.Chim.Acta. (in press). (1999)