1998 Fiscal Year Annual Research Report
SCIDマウスの単離ヒト毛包移植モデルの確立と毛包幹細胞の同定
Project/Area Number |
08670955
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
風間 隆 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (00204371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅章 新潟大学, 医学部, 教授 (30115000)
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Keywords | SCIDマウス / 移植 / 毛包 / 成長期脱毛 / 幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト毛包の実験にはin vivoの系が適していると考えられる。ヒト頭皮のヌードマウス移植モデルが報告されているが、おそらく移植片の不規則な萎縮により毛包の縦断面の組織が得られにくくいため、組織学的な検討が必要な実験には適していない。それらを改良した新しい実験モデルを確立するため、ヒト頭皮から単離した成長期毛包をSCIDマウス背部皮膚に移植した。その結果、次の3点がこのモデルの長所と考えられた。(1)毛包の縦断面の組織が容易に得られる。(2)成長期のみを選択して実験に利用できる。(3)少量の組織から多くの毛包が得られるので実験の数を容易に揃えられる。 この系における毛幹の脱落と再生の時期、それらの経時的な組織学的、電子顕微鏡的および免疫組織学的(BrdU-labeling cellおよびKeratin 19)検討から、これらの移植毛包は成長期脱毛とその回復過程を示すことが明らかとなった。すなわち移植後30日までは変性・萎縮し、40〜70日から成長期が再開され、以後少なくとも観察最終日の120日まではすべての毛包は成長期を維持した。 このモデルを利用し、毛包幹細胞の局在を検討した。移植後40日から14日間の標識期間中3H-thymidine含有ミニポンプを腹腔内に保持させ、その直後とポンプ除去後28日および56日に移植毛包を採取し、オートラジオグラフィーで観察した。標識直後では毛隆起の外毛根鞘最外層だけが全く標識されなかった。28日後では、外毛根鞘の毛隆起部の基底層直上層とそれよりやや毛球部側の最外層にlabel-retaining cell(LRC)が、56日後では、前者と後者のより毛球部に近い部位にLRCが観察された。つまり、最も長い細胞周期のslow-cycling cell(SCC)が毛隆起の外毛根鞘最外層に存在し、それよりやや短い周期のSCCがその上層と毛球部側に存在し、後者は毛球部側に移動していることが明らかとなった。つまり、これらの細胞が毛包幹細胞であることが示唆された。
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