1997 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍および創傷治癒において、5型ラミニンが細胞の接着に果たす役割に関する研究
Project/Area Number |
08670956
|
Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
諸橋 政昭 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018719)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津山 実 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (10213787)
松井 千尋 富山医科薬科大学, 付属病院, 講師 (10181679)
|
Keywords | 創傷治癒 / ヘミデスモゾーム / 5型ラミニン |
Research Abstract |
5型ラミニンは基底層角化細胞と基底膜を結び付けるヘミデスモゾームを構成するanchoring filamentに局在している。また本蛋白が先天性表皮水疱症(JEB)の最重症型であるHerlitz型で5型ラミニンの異常が報告されて、広く上皮系細胞の基底膜への接着に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。われわれはこれまで発表した5型ラミニン(LAM5)の細胞内アッセンブリと分泌に関する基礎的研究を踏まえて、生理的および病的状態での角化細胞の細胞外マトリクスへの接着についての知見を得ることを目的とした。準備として1)LAM5のαβγサブユニットのcDNAをpGEX発現ベクターに挿入しリコンビナント蛋白を得、兎に免疫しポリクローナル抗血清を作成した。2)ヒト表皮で器官培養を行い、表皮辺縁から角化細胞が伸長する部分(epiboly)を測定した。これは創傷治癒の際の表皮欠損の閉鎖機構を推定するのに役立ち、各種薬剤の創傷治癒への影響をアッセイするin vitroの系に適していると考えられた。この器官培養系にジブチリルサイクリックAMP(dbcAMP)やトコレチナ-ト等の創傷治癒促進効果のある薬剤を添加してepibilyの伸長を比較したところ、dbcAMP(10^<-6>〜10^<-7>M)には伸長促進作用がみられたがトコレチナ-トではみられなかった。また増殖マーカーであるPCNA抗原の発現につき検討したところ、dbcAMPによって表皮角化細胞でのPCNA発現がコントロールに比べ増強しておりこの細胞増殖促進作用がepiboly伸長に関連している可能性が示唆された。epiboly部での基底膜蛋白の発現について検討するには同部が凍結切片で薄切しにくいという難点があり観察不能であった。また電子顕微鏡を用いて同部の基底膜(特にヘミデスモゾーム)再構成を観察したが、動物モデルにおける観察よりも得られる情報が少ないと考えられた。器官培養実験で情報が得られなかった点について現在ヘアレスマウスを用いた創傷治癒実験で基底膜の再構成を含め検討を進めている。
|