1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670957
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松井 千尋 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (10181679)
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Keywords | 5型ラミニン / 先天性表皮水疱症 / ヘミデスモゾーム |
Research Abstract |
5型ラミニンは基底層角化細胞と基底膜を結び付けるヘミデスモゾームを構成するanchoring filamentに局在している。われわれはこれまで発表した5型ラミニン(LAM5)の細胞内アッセンブリと分泌に関する基礎的研究を踏まえて、1)先天性表皮水疱症患者角化細胞におけるLAM5生成分泌の異常を明らかにすること。2)LAM5がヘミデスモゾームに加わり角化細胞の接着する機構の解明を目的とした。準備として1)LAM5のαβγサブユニットのcDNAをpGEX発現ベクターに挿入しリコンビナント蛋白を得、兎に免疫しポリクローナル抗血清を作成した。2)ヒト角化細胞mRNAに対するRT-PCRによって、LAM5αサブユニットのcDNA断片を得、全長を有するクローンとして再構成した。 接合部型先天性表皮水疱症(JEB)患者由来の角化細胞を、ヒトパピローマウイルスE18遺伝子で不死化し、細胞質内および培養上清におけるLAM5分子の生合成の異常を検討した。その結果、HJEB角化細胞はいずれかのサブユニット蛋白を完全に欠いており、ヘテロ3量体は全く形成されていなかった。軽症型では量は少ないもののヘテロ3量体が形成され、培養上清に分泌されていた。mRNAレベルを比較したところ、致死型では障害されているサブユニットに対応するmRNAはほとんど検出できず、軽症型ではその量が低下していた。遺伝子配列の検索では変異が特異的に集積した部位は無かった。JEB患者の遺伝子の変異が(1)mRNAの安定性に影響を及ぼしサブユニットの量を減らす、(2)ヘテロ3量体形成に必要な蛋白構造を変質させる、という機序によりLAM5ヘテロ3量体生成が完全あるいは不完全に阻害されることが推定された。LAM5分子の異常特にヘテロ3量体形成の程度が本症患者の重症度と相関していることが明らかになった。
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