1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳頭腫ウイルスの型特異的細胞変性効果および関連表皮様嚢腫に関する研究
Project/Area Number |
08670975
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江川 清文 熊本大学, 医学部, 講師 (50183215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 友道 熊本大学, 医学部, 教授 (10040586)
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Keywords | ヒトパピローマウイルス / 型特異的細胞変性効果 / 細胞質内封入体 / 封入体疣贅 / 表皮様嚢腫 / エックリン汗管 / CEA / E4 |
Research Abstract |
1.足底粉瘤(表皮様嚢腫)の発症機構として、長く外傷などによる表皮の真皮内迷入説が考えられて来た。これに対し、我々はヒトパピローマウイルス(HPV)感染症説、さらにHPVのエックリン汗管への感染説を提唱して来た。当該年度中に約20例の足底粉瘤症例につき連続切片作製による解析を行った結果、全例にエックリン汗管の関与を証明した。うち一例については3次元再構築による解析を行い、被覆表皮と表皮様嚢腫が1本の汗管で連結される像を捕らえる事ができた。 2.現在まで、表皮様嚢腫に検出されるHPV型はHPV60型に限られていたが、我々はPCR法およびin situ hybridization法を用いてHPV57型の検出に成功した。これによって表皮様嚢腫の発症に複数のHPV型が関与する可能性を明らかにした。今後、表皮様嚢腫の病理組織像や発生部位とHPV型との相関を検討し、表皮様嚢腫発症におけるHPVの真の役割を研究する足掛かりとなった。 3.HPV 1,HPV 4,HPV 60.HPV 63,およびHPV 65のE4遺伝子タンパクに対する特異抗体を作製し、これらを用いた免疫組織学的解析を行い、E4遺伝子タンパクが、これら各HPV型の型特異的細胞変性効果とされる細胞質内封入体の形成に関与する可能性を示唆する所見を得た。 またE4遺伝子タンパクの分布を、in situ hybridizationを用いたHPV DNAの分布や、BUdRを用いたHPV DNA複製部位との比較を行い、E4遺伝子タンパクの発現がHPV DNA複製量と強い相関を示すことを明らかにした。
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[Publications] Kiyofumi Egawa: "Carcinoembryonic antigen and related antigens expressed on keratinocytes in inflammatory dermotases" British Journal of Dermatology. 134. 451-459 (1996)
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[Publications] Yumi Honda: "Sweat duct milia-immunohistological analysis of structure and three-dimensional reconstruction" Archives of Dermatological Research. 288. 133-139 (1996)
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[Publications] 江川清文: "ウイルス性疣贅-最近の知見と展望-" 日本皮膚科学会雑誌. 106. 91-99 (1996)