1996 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスKup70/80DNAを用いた放射線遺伝子治療
Project/Area Number |
08670999
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細井 義夫 東北大学, 医学部, 講師 (50238747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池畑 広伸 東北大学, 医学部, 助手 (90250737)
小野 哲也 東北大学, 医学部, 教授 (00107509)
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Keywords | DNA-PK / Ku70 / Ku80 / 放射線 |
Research Abstract |
放射線によって生じる主要なDNAの損傷である二重鎖切断の修復に関与する酸素、DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-dependent proteinkinase, DNA-PK)を構成する蛋白質の遺伝子としてDNA-PKcs、Ku70、Ku80がクローニングされている。正常な細胞では、これらの遺伝子の単独の異常により細胞の放射線感受性は高まると考えられている。本研究では、アンチセンスDNA-PKcs、Ku70、Ku80を用いてDNA-PKcs、Ku70、Ku80蛋白質合成を抑制することにより、癌細胞の放射線感受性を高めることが可能かどうかを検討した。アンチセンス、センス、DNA-PKcs、Ku70、Ku80は、それぞれに遺伝子の転写開始部位より22baseの大きさで作成した。細胞としては、培養脳腫瘍細胞のT98GとA172を用いた。アンチセンスKu70とKu80を、20μMの最終濃度で、1日3回4日間培地に直接投与し、放射線感受性に及ぼす影響を検討した。放射線照射はアンチセンスDNAの投与開始より3日目に行った。アンチセンスKu70とアンチセンスKu80を20μMの濃度で投与すると細胞毒性が認められたが、T98G、、A172両方の細胞で放射線感受性が高められた。アンチセンスDNAの投与のみで細胞毒性が認められたため、より少量のDNAを効率よくり取り込ませるため、リポフェクションによりアンチセンスDNAを投与した。投与量を決定するに当たり、アンチセンスDNA-PKcs、Ku70、Ku80がT98Gの細胞粗抽出液のDNA-PK活性に及ぼす影響を検討した。アンチセンスDNAの投与は1日1回、2日間にわたり投与し、3日目にDNA-PK活性を測定した。アンチセンスDNA-PKcs、Ku70、Ku80の投与によりDNA-PK活性は抑制された。放射線感受性に及ぼす影響に関しては現在検討中である。アンチセンスDNA-PKcs、Ku70、Ku80の投与により、DNA-PK活性を抑制し、癌の放射線感受性を高めることは、十分可能と考えられる。
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