1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腫瘍の放射線および抗癌剤感受性とアポトーシス誘導の遺伝子伝達系の解析
Project/Area Number |
08671007
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Research Institution | Gunma University School of Medicine |
Principal Investigator |
斉藤 吉弘 群馬大学, 医学部, 助手 (50170543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 英幸 群馬大学, 医学部, 助手 (50235222)
早川 和重 群馬大学, 医学部, 講師 (70114189)
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Keywords | 放射線感受性 / 抗癌剤感受性 / アポトーシス / パクリタキセル / 照射と薬剤の併用 / 相乗効果 |
Research Abstract |
腫瘍に対する放射線および抗癌剤の感受性を左右する因子として、最近、アポトーシスによる細胞死が重要であることが判明してきた。そこで、放射線感受性が高いラット卵黄嚢腫瘍細胞株(NMT-1)および同細胞を繰り返し照射し放射線抵抗性を獲得した細胞株(NMT-1R)を使用し、新抗癌剤のパクリタキセルに対する感受性、アポトーシス誘導能との関係および放射線とパクリタキセルの併用による効果を調べることを目的とした。両細胞の照射後のアポトーシス細胞の出現は異なり、NMT-1で明らかにアポトーシス細胞の出現が認められている。 放射線および薬剤に対する感受性は、コロニー形成能から細胞生残率を調べる方法をもちいた。細胞に対する薬剤の接触時間を24時間とし、薬剤濃度を変化させて細胞生残率を調べた結果、D_0はNMT-1で5.15nM、NMT-1Rで5.02nMであり、両細胞で薬剤に対する感受性は同程度であった。両細胞に薬剤を接触後、細胞の形態学的変化をHoechst33258で核染色し調べた結果、クロマチンの凝集、断片化した核を持つアポトーシス細胞の出現が24時間後にみられた.DNAの電気泳動でも薬剤投与24時間後に両細胞でラダー形成がみられアポトーシス細胞の出現を確認できた。薬剤投与後のDNAの断片化率を両細胞で調べた結果、未処置細胞の断片化率は、NMT-1で1.7±0.5%、NMT-1Rで1.0±0.5%、24時間後はそれぞれ、12.4±3.3%、13.0±1.9%で、DNAの断片化率は、24時間後に有意に増加しており、その頻度は両細胞で同程度であった。以上から両細胞で薬剤に対する感受性が同程度であるのは、アポトーシス細胞の出現が同程度にみられることと関係していた。薬剤と照射の併用では、薬剤投与後G_2/M期の細胞が最大となる12時間後に照射を施行した場合、その効果は相加以上の効果をしめした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saito Yoshihiro: "Cytotoxic effect of paclitaxel(taxol) either alone or in combination with irradiation in two rat yolk sac tumour cell lines with different radiosensitivities in vitro." International Journal of Radiation Biology. 73・2. 225-231 (1998)
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[Publications] 斉藤 吉弘: "放射線感受性の異なる腫瘍細胞株に対するpaclitaxel(Taxol)と放射線との併用効果" 癌の臨床. 44・2. 243-244 (1998)