1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子を標的とする放射性標識抗体・ペプチドによる癌の診断・治療法の開発
Project/Area Number |
08671022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐賀 恒夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (40273445)
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Keywords | 細胞接着分子 / インテグリン / モノクローナル抗体 / 放射免疫診断 / オートラジオグラフィ |
Research Abstract |
細胞接着分子は細胞間、細胞-基質間の接着を担う分子で、癌の増殖、浸潤、転移に深く関わっていることがわかってきた。放射性同位元素(RI)標識化合物を用いて、腫瘍組織における接着分子の発現を核医学的に画像化することができれば、悪性度の評価、治療方法の選択、手術後の再発の可能性の予測を非侵襲的に行うことが可能となる。本研究ではRIで標識したモノクローナル抗体を用いて、実験動物腫瘍モデルにおいて細胞接着分子の異常発現を検出できるかどうか検討を行った。 マウスモノクローナル抗体GA17は、接着分子の一つであるインテグリンα3を認識する。I-125標識GA17は種々の組織型(悪性黒色腫、悪性膠細胞腫、大腸癌、肺癌)のヒト癌細胞株とインビトロで特異的に結合したが、細胞表面の結合部位数は細胞株により様々であった。ついで、これらの癌細胞株をヌードマウス皮下に移植して、I-125およびIn-111で標識したGA17抗体の腫瘍集積性を検討した。RI標識GA17抗体は移植腫瘍に種々の程度で特異的な集積を示したが、I-125標識抗体とIn-111標識抗体の腫瘍集積性が大きく異なるもの(悪性黒色腫、悪性膠細胞腫、肺癌)とあまり変わらないもの(大腸癌)があり、腫瘍により抗体の代謝に違いがあることが示唆された。また、オートラジオグラフィと免疫組織染色の比較より、インビボの腫瘍では、腫瘍内のインテグリンα3の発現は均一なもの(悪性膠細胞腫)と、非常に不均一なもの(悪性黒色腫、大腸癌、肺癌)があり、それが標識抗体の腫瘍内の微細分布に影響を及ぼしていることがわかった。腫瘍間での代謝、抗原発現の違いは、インテグリンの機能の多様性を反映している可能性がある。これらの結果より、RI標識抗インテグリン抗体を用いて腫瘍内に異常発現するインテグリンを検出できる可能性が示唆された。腫瘍内の発現が増強している場合には、画像診断のみならず細胞障害性のRIを用いた放射免疫療法への応用も可能と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sakahara H,et al.: "Effect of circulating antigen on immunoscintigraphy of ovarian cancer patients using anti-CA125 monoclonal antibody" Japanese Journal of Cancer Research. 87. 655-661 (1996)
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[Publications] Nustad K,et al.: "Specificity and affinity of 26 monoclonal antibodies against the CA125 antigen:First report from the ISOBM TD-1 workshop" Tumor Biology. 17. 196-219 (1996)
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[Publications] Nap M,et.al.: "Immunohistochemical characterization of 22 monoclonal antibodies against CA125 antigen:2nd report from the ISOBM TD-1 workshop" Tumor Biology. 17. 325-331 (1996)