Research Abstract |
肺感染症が生じた患者の宿主免疫能を示すパラメータを測定し,同時期に高分解能CTを撮像し検討することにより,宿主免疫能の程度に応じた起炎病原体の肺感染症の画像的特徴を明らかにすることを目標として研究を開始した. 肺感染症が臨床上疑われる患者に対し,高分解能CTを施行し,2日以内に末梢血で以下の免疫能を測定した.すなわち,細胞性免疫の指標はリンパ球数,リンパ球サブセット,CD2/4/8,NK活性,リンパ球幼弱化反応で,体液性免疫の指標は,IgG,IgM,IgA,C3,C4である.起炎菌は,喀痰や肺胞洗浄液の塗沫/培養/PCR,経気管支生検,血清抗原/抗体などで決定された.CT,免疫能,起炎菌の全ての情報が入手でほきた症例は,48例(結核20,非定型抗酸菌症14,カリニ5,真菌4,マイコプラズマ2,一般細菌3)である.患者のプライバシーの保護のため、以上の患者情報が漏洩しないよう厳重に注意した。結核,非定型抗酸菌症では,細胞性免疫能の低下症例に非典型的分布や広範囲病変が多く,免疫正常者にみられる小葉中心性散布結節がむしろ少なく,consolidationが比較的高頻度にみられた.病変の分布やCT所見に差が見られるのは,細胞性免疫の違いによるものと考えられる.また,カリニ肺炎や真菌感染症についても今後症例を更に増やし,免疫能とCT像との相関を検討したい.特にカリニ肺炎は全例非AIDS患者であり,過去に報告の少ない非AIDS患者におけるカリニ肺炎のCT所見と免疫能との関係を明らかにしたい.
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