Research Abstract |
上腹部領域の拡散強調画像をEPIを用いて撮像し,正常臓器の拡散係数(ADC)を算出して臨床応用の可能性について検討した。MRI装置はGE社製Signa Horizon Ver.5.5を用いた。拡散強調画像は,SE型single-shot EPIを用いてMPG length:40msecとし,MPGの振幅を変化させることにおりb値を変化させた。GE社製のQD phantomを用いて。TR:4000msec,TE:120msec,スライス厚8mmとし,撮像は、x,y軸方向に各々b値を24s/mm^2,113,380,825,1448に,z軸方向にb値を24s/mm^2,200,569,1130に変化させて拡散強調画像を撮像し,ADCを算出した。正常ボランティア5例について,TR:4000msec,TE:103msec,matrix:128×128,body coilまたはGPFlex coil,スライス厚8mm,15スライスの拡散強調画像を4秒の呼吸停止下に撮像した。x軸方向にb値を9s/mm^2,41,98,236,365に変化させて撮像し,各臓器にROIを設定して信号強度を測定しADCを算出した。結果は,phantom実験でADCはx軸方向で2.20×10^<-3>mm^2/s,y軸方向で2.09×10^<-3>,z軸方向で2.24×10^<-3>とほぼ等しい値がえられた。正常例での検討では,肝の信号が低く,b値を236s/mm^2以上とするとノイズレベルとなった。脾,腎ではb値365s/mm^2においても充分な信号がえられ,腎では髄質と皮質の分離も可能であった。平均ADCは,肝2.51×10^<-3>mm^2/s,脾臓3.74×10^<-3>,腎皮質6.59×10^<-3>であった.従来の報告と比較してADCが高く,更に症例を重ねて検討する必要がある。b値を大きくした場合には画像が劣化するため,b値を100s/mm^2以下に設定すれば,肝でのROI設定も可能であったが,低いb値でADCを計算しているために誤差が大きくなったものと考えられる。以上の結果からSE型single-shot EPIを用いることにより上腹部に拡散強調画像の臨床応用が可能であると考えられた。
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