1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の注意関連電位(Nd,MMN)の検討-Scalp eurrent devsity analysisを用いて
Project/Area Number |
08671076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中込 和幸 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30198056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 憲治 東京大学, 医学部・音声言語研究施設, 助手 (80010106)
福田 正人 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20221533)
平松 謙一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50218814)
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Keywords | Nd / MMN / 多チャンネル脳波 / SCD / 精神分裂病 |
Research Abstract |
選択的注意課題遂行時のNd,MMNについて検討した。分裂病患者21名及び健常者19名を対象に,刺激は左右各耳に1KHzの純音(提示間隔600msec)で,左右いずれかの耳を注意耳側とし,高頻度刺激(提示確率80%)は持続100msec,低頻度刺激(提示確率20%)は持続50msecとした。被験者には注意耳側低頻度刺激をカウントするよう求めた。注意耳側がそれぞれ左,右である場合各3セッションを施行した。脳波は頭皮上16部位から導出し,Nd,MMNはそれぞれ差波形(Nd:高頻度注意刺激-高頻度非注意刺激,MMN:低頻度刺激-高頻度刺激)を用いて同定し,その振幅及び頭皮上分布について分裂病群と健常群で比較検討を行った。サンプル数が前年度に比して増えたため,本年度はまず振幅値を用いて統計解析を行った。MMNについては前頭領域で有意に分裂病群で振幅値の低下が認められたが,頭皮上分布については有意な違いは認められなかった。Ndについては,頭頂後頭領域において分裂病群で有意な振幅値の低下が認められた。 そのほかに,上記と同様の課題を用いて,多チャンネル脳波(128ch)を用いたMMN,Ndの検査を開始しており,これまでのところ健常者6名でSCDトポグラフィを検討したところ,視察ではあるが,MMNについてはGiardら(1990)と同様に刺激対側の側頭葉領域に吸い込み口と吹き山し口,さらに右前頭部優位に吸い込み口を認めた。一方,Ndについては早期成分について刺激対側の側頭葉領域で吸い込み口が明瞭に認められた。以上の結果から,多チャンネル脳波を用いることにより16ch脳波で得られた知見について,いくつかの脳解剖学的な側面から下位成分に分けてより詳細に検討が行われる可能性が示唆された。今後は精神分裂病群のMMN,Nd振幅の低下がどのようなメカニズムに基づくものであるかを多チャンネル脳波を用いて検討を行う予定である。
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