1996 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠・覚醒リズム障害に起因する不登校の診断と識別に関する研究
Project/Area Number |
08671081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 龍朗 名古屋大学, 医学部, 教授 (00109323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水渓 雅子 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20115637)
石井 卓 名古屋大学, 医学部, 助手 (40273239)
粥川 裕平 名古屋大学, 医学部, 助手 (20214570)
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Keywords | 睡眠覚醒リズム障害 / 不登校 / 鑑別診断 / メラトニン / ベンゾジアゼピン / 心理・社会的要因 / 心身症 / 予後 |
Research Abstract |
不登校現象をもたらす原因は生物学的要因と心理社会的要因に分けられるものと仮定し、睡眠・覚醒リズム障害を通じてそのどちらがより強く影響するのかを識別できれば、治療や対処がより効果的になるであろうと考え本研究をはじめた。 まず予備的段階として生物学的要因の分析を目的に、これまで行ってきた人工統計学的研究の中で家庭の環境とくに両親と同胞の睡眠リズムのパターンと障害を示す子どもの間に何らかの相関が見られるかどうかを確認する作業を行った。対象は7212名の高校生の中で睡眠相後退症候群の疑わしい者の群(DSPS群)と、そうでないものの群(非DSPS群)で両親の入眠・起床困難との関係、同胞に同じ傾向があるか、郡部と都市部で差があるかなどを調べた。Zungのうつ病評価尺度を用いてうつ状態に差があるかも調査した。しかし母の入眠困難との相関が見られた以外、いずれも有意な差が見られず、環境要因がDSPSに大きく影響しているとは断定できなかった。 一方薬物とくにメラトニンが不登校に効果ありとする報告があるため、まず予備的に非24時間睡眠覚醒症候群に対して投与を試み、その体温や睡眠構造の変化を調べたが、メラトニンが効果をもつ例では、入眠が急速に促されることが明らかで、睡眠リズムの障害が第一義的要因の場合は、メラトニンへの反応が良いとの仮説が示唆された。今後症例を増やして検討をすすめ、メラトニン以外の睡眠薬などの治療反応性についても解析をする予定である。とくに第2年度には、病前性格、家庭環境、心理的諸検査などを総合的に解析し、心理社会的要因の側から検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tatsuro Ohta: "Circadian Rhythm Sleep Disorders : A Breif Review with Special Reference to Long term Follow-up" Nagoya Journal of Medical Science. 58. 83-93 (1995)
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[Publications] 早河敏治: "睡眠・覚醒リズム障害と治療" 臨床と研究. 73(2). 350-354 (1996)
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[Publications] 太田龍朗: "今日のKEY WORDS 時間療法 Chronotherapy" 神経精神薬理. 18(10). 677 (1996)
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[Publications] 太田龍朗: "睡眠のリズムから見た生活と環境" 日本女医会誌. 148. 2-3 (1996)
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[Publications] 太田龍朗: "精神科臨床からみた睡眠障害" 精神神経学雑誌. 98(9). 629-641 (1996)
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[Publications] 伊藤彰紀: "思春期青年期ケース 研究4 感情障害とリズム障害" 岩崎学術出版社 樋口輝彦、神庭重信編集, 161 (1996)
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[Publications] Tatsuro Ohta: "Recent Advances in Clinical Neurophysiology" Elsevier Science B.V. J.Kimura and H.Shibasaki (eds), 1033 (1996)