1997 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸症の遺伝性についての研究 -家系内多発の実態ならびにその要因について-
Project/Area Number |
08671088
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 雄一 鳥取大学, 医学部, 講師 (50213179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周藤 裕治 鳥取大学, 医学部, 助教授 (10135858)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症 / 家系内発症 / 肥満 / 睡眠時上気道MRI / セファログラム |
Research Abstract |
1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の多発家系を見出だした。本家系では、4世代に6名のSASの患者が存在し、このうち1名はすでに死亡していた。生存している5名の睡眠時上気道MRIにおいて、後口蓋部閉塞が確認された。重症者(2名)においてのみ高度肥満が存在したが、他では肥満者はなかった。また、呼吸化学受容体感受性も全員正常であった。従って顔面頸部骨格ないし軟部組織形態の類似性が本症家系内集積の原因は推定された。 2.1)当施設受診中のSAS症例141例(発端症例)の医学的第一親等者889名におけるSASの有病率を調べ、一般人口対照者922名との比較を行った。これにより、発端症例の第一親等者でのSAS有病率は9.1%と一般人口の1.7%に比べて4倍以上高いことが確認された。しかし第一親等者SASでは、発端症例に比べてポリソムノグラフィ上の無呼吸頻度が少なく臨床症状(日中の眠気)も軽度であった。 2)家系内多発例は、孤発例に比べて低年齢発症していたことから、遺伝的継承による表現促進の可能性が示唆された。 3)家系内多発症例特に第一親等者のSASでは、肥満度は正常範囲であった。家系内多発例では、睡眠時上気道MRIにおいて、施行された全例で後口蓋部閉塞が認められた。また家系内多発例では、セファグラムにおいていくつかの指標について対照群との差が認められた。これらは1で得られた所見を支持するものであり、家系内で遺伝的に共通した顔面頸部骨格ないし上気道軟部組織の形態異常が多発し類似した上気道狭搾を生じることが、本症家系内多発の主因であると判断された。
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[Publications] 井上雄一: "居眠り運転と睡眠時症候群" 臨床精神医学. 27(2). 137-147 (1998)
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[Publications] 井上雄一: "Prader-Willi症候群における睡眠障害の病態について" 精神科治療学. 12(12). 1471-1478 (1997)
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[Publications] Yuji Suto: "Reconstruction of three-dimensional images of the pharynx in patients with sleep spnea using three-dimensional fast low-angle shot MR imaging." AJR. 168. 1320-1321 (1997)
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[Publications] Masayuki Kanba: "Cerebral metabolism in sleep apnea evaluation by magnetic resonance spectroscopy" American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine. 155(1). 1-3 (1997)
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[Publications] 井上雄一: "閉塞型睡眠時無呼吸を合併した原発性肺胞低換気症候群の1例" 精神科治療学. 12(10). 1479-1486 (1997)