1996 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン神経系による皮質アセチルコリン分泌の制御機構の解明
Project/Area Number |
08671090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
平野 均 山口大学, 保健管理センター, 助教授 (70228807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 芳人 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
山田 通夫 山口大学, 医学部, 教授 (00034942)
平田 牧三 山口大学, 保健管理センター・所長, 教授 (10156672)
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Keywords | アセチルコリン分泌 / 大脳皮質 / セトロニン神経系 / 脳微小透析法 |
Research Abstract |
5-HTによる皮質ACh分泌の制御機構を解明する一貫として、平成8年度はACh分泌における5-HT_<1A>受容体の関与を解明していくと共に、ACh分泌における5-HT_<2A>受容体と5-HT_<1A>受容体の相互関係についても明らかにしていくことを目的とした。 あらかじめ雄性ラット前頭葉に透析プローブを留置し、二日後無麻酔・自由行動下で100nMのneostigumineを含む人工脳脊髄液を還流させ、その中に含まれるAChをHPLCECDによって測定した。 皮下投与した5-HT_<1A>受容体agonistの8-OH-DPAT(0.1mg/kg)は、ACh分泌に有意な影響を及ぼさなかった。背側縫線核に60分間投与した選択的5-HT再取込み阻害薬のfluoxetine(1μM)は、ACh基礎分泌値を有意に低下させた。一方、透析プローブを介して前頭葉へ60分間投与した100nMと10μMの8-OH-DPATは、共にACh分泌値に有意な影響を及ぼさなかった。しかし、fenfluramine(10mg/kg,s.c.)投与30分後に8-OH-DPAT(10μM,60分間)を前頭葉へ投与したところ、fenfluramineの皮質ACh分泌増加作用は著しく増強された。5-HT_<1A>受容体と5-HT_<2A>受容体の双方に親和性を持つ5-MeO-DMT(2.5mg/kg,i.p.)は、一過性にACh分泌を増加させた。 以上の結果から、5-HTは背側縫線核に存在する5-HT_<1A>自己受容体を介して皮質ACh分泌に対して抑制的に、一方前頭葉(皮質)に存在するシナプス後5-HT_<1A>受容体を介して促進的に作用することが示唆された。さらに、皮質では5-HT_<2A>受容体活動の亢進に連動し皮質5-HT_<1A>受容体機能も亢進し、その結果5-HTによる5-HT_<1A>受容体を介するACh分泌促進作用も増大する可能性が示唆された。
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