1996 Fiscal Year Annual Research Report
モデルパーキンソン病ラット線条体の転写因子発現に関わる行動薬理学的研究-ドーパミン神経細胞移植の効果-
Project/Area Number |
08671093
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
石田 康 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (20212897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 利数 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (20112211)
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Keywords | ドーパミン / C-Fos / 線条体 / 6ヒドロキシドペミン(6-OHDA) / マイクロダイアリーシス / ラット |
Research Abstract |
本研究は,6-hydroxydopamine(6-OHDA)を用いて作成したヘミ・パーキンソン病モデルラットにおけるドーパミン(DA)系神経応答の局所形態学的検討を目的として,同モデルに対するDA作動薬投与後の黒質・線条体における転写修飾因子蛋白のFos発現を免疫組織化学的手法を用いて観察した。また一部の6-OHDA動物の破壊側線条体に胎仔中脳細胞の移植を行い,移植によるFos発現の変化を観察した。形態学的観察に並行して,マイクロダイアリーシス法による線条体DA,L-DOPA,DOPAC等の細胞外液濃度の測定も行った。 1)メタンフェタミン投与によるFos発現 正常線条体でみられるFos発現が破壊側線条体でやや減少していた。それと対照的に,黒質網様層において破壊側優位なFos発現が認められた。なお,これらの部位のFos発現はMK-801(NMDAレセプター阻害剤)およびSCH-23390(D1レセプター阻害剤)によって抑制された。移植部線条体では破壊側線条体と比較して明らかなFos発現の回復が認められた。個体によっては正常側線条体よりも多く発現しているものもみられた。 2)アポモルフイン投与によるFos発現 L-DOPA全身投与時の反応と同様に破壊側優位な線条体のFos発現が認められた。この反応は,メタンフェタミンに対する反応に比較して明らかにlateralityの明確なものであった。移植部線条体では,破壊側線条体でみられたFos発現がほぼ完全に消失しており,その範囲は移植細胞由来のTH陽性線維が伸展している範囲に比べ明らかに広範なものであった。 3)破壊後17-21週(移植後14-18週)に行ったマイクロダイアリーシス法のよる線条体細胞外液中のDA及びL-DOPA濃度は,破壊側線条体では著明に減少していたが,移植により有意な回復を示し対照群との有意差も認められなかった。DA系と同時にセロトニン系の伝達物質測定も行いこの実験系における可塑性に関する有益な知見を得た。
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