1997 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う視交叉上核における生体リズム形成機構の変動
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08671099
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
川上 富美郎 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60186062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 均 神戸大学, 医学部, 教授 (60158813)
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Keywords | Vasoactive intestinal peptide / Suprachiasmatic nucleus / in situ hybridization / Aging |
Research Abstract |
痴呆患者をはじめ高齢者では体温リズムなどに様々な程度の異常が報告されていることから、老化そのものが生体リズムの形成に何らかの影響を与えていると推測される。哺乳動物の概日リズムの中枢である視交叉上核(suprachiasmatic nucleus;SCN)には同調機構に重要な役割りを担うvasoactive intestinal peptide(VIP)を含有するニューロンが分布しているが、老化による日内リズム形成の異常はこのVIPニューロンに何らかの変化が生じている可能性が推測され、これを明らかにする目的でVIPmRNAの変動をin situ hybridizationと画像解析装置を用いて検索した。平成8年度の研究結果では、約2年間飼育したWistar系雄性ラット(老齢ラット)と対照群として生後3ヶ月間の若年ラットのSCNにおけるVIPmRNAのradioactivityを画像解析し比較したところ、老齢ラットでは若年ラットで認められたような明期と暗期の間の有意な差が認められなくなっていた。この結果から、明暗情報に同調しているSCNのVIP日内リズムの形成は、老化によって確立できなくなることが示唆されたが、このことは老化に伴って分泌が減少していくメラトニンの影響が推測される。平成9年度は老齢ラットにメラトニンを投与しSCNのVIPmRNAに及ぼす影響を同様の方法で検索した。その結果、メラトニン投与により老齢ラットのVIPmRNAは若年ラットと同等程度に回復したが、明期と暗期の間の有意な差は回復しなかった。この結果から老化によって明暗情報に同調しているSCNのVIP日内リズムの形成が確立できなくなることが示唆され加齢による種々の生体リズム異常を引き起こす要因となっている可能性が推測されると伴に、メラトニン投与はSCNのVIP日内リズムの形成を確立する方法の一つであることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] F.Kawakami, et al.: "Effects of aging to VIPmRNA in the suprachiamatic nucleus under light-dark conditions" Psychiat.Clin.Neurosci.51. S38 (1997)
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[Publications] F.Kawakami, et al.: "Loss of day-night differences in VIPmRNA levels in the suprachiasmatic nucleus of aged rats" Neurosci.Lett.222. 99-102 (1997)
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[Publications] 岡村 均, 他: "概日リズムに及ぼすニコチンの作用機構の解析 -老化促進モデルマウス(SAMP8)による検討-" 平成8年度喫煙科学研究財団研究年報. 178-183 (1997)
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[Publications] 川上富美郎, 他: "視交叉上核のVIPmRNA日内リズムに及ぼす老化とメラトニンの影響" 精神神経薬物治療研究基金年報. 29(in press). (1998)