1996 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンス・カルビンディンD_<28K>遺伝子導入トランスジェニックマウウの研究
Project/Area Number |
08671108
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 正 順天堂大学, 医学部, 助手 (30236294)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 令一 順天堂大学, 医学部, 教授 (10053000)
桐野 衛二 順天堂大学, 医学部, 助手 (90276460)
新井 平伊 順天堂大学, 医学部, 講師 (50167988)
|
Keywords | カルシウム結合蛋白 / カルビンディン / トランスジェニックマウス / in situ ハイブリダイゼーション / アンチセンス遺伝子導入 / メッセンジャーRNA |
Research Abstract |
カルシウム結合蛋白の一種であるカルビンディンD_<28K>のアンチセンス遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)マウスを英国グループとの共同研究にて作成した。本Tgマウス系は、ゲノム当たり35-50コピーのアンチセンス・カルビンディンcDNAの導入が確認されている。平成8年度は、生後3ケ月齢の本Tgマウス(homozygote/heterozygote)脳におけるセンス・カルビンディンmRNAの発現についてin situ hybridization(ISH)法を用いて検討した。対照として統計学的に月齢・体重・性別を一致させたC57BL/6系正常マウス脳を用いて比較した。ISH法には、カルビンディンmRNAに相補的な合成オリゴヌクレオチド・アンチセンスプローブ(^<35>S標識)を用いた。フィルムオートラジオグラフィーによりセンス・カルビンディンmRNAの脳内での発現分布を調べ、同時にその発現量を定量化した。正常対照脳では、小脳プルキニエ細胞(脳内で最大の発現)、海馬、歯状回、大脳皮質、視床、被殻・尾状核などに特異的な強シグナルを認め、従来の同法による報告と一致した分布を示した。一方、Tgマウス脳においては、heterozygoteで前記正常脳でのシグナルに比べて全般的に約50%の有意な減少を、さらにhomozygoteで検出できないレベルにまで劇的なノックアウトを示した。ただし小脳は、heterozygote/homozygoteともに正常対照脳に比べて約10%の減少のみであった。アンチセンス・ストラテジーにより、本Tgマウス系は当該蛋白のセンスmRNAの脳内発現が少なくとも生後3カ月齢の時点では、小脳を除く部位において顕著に減少あるいはノックアウトされていることが確認された。現在、加齢に伴うmRNA発現の経時的変化を検討中で、次年度はさらに当該および関連蛋白の発現変化、神経病理学的変化の有無を確認する予定である。
|