1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671122
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Research Institution | National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
内山 真 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 室長 (20221111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 茂 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (30300958)
大川 匡子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 部長 (80160430)
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Keywords | メラトニン / 生体リズム / 体内時計 / 概日リズム睡眠障害 / 不眠症 |
Research Abstract |
メラトニンは松果体から1日の明暗周期にしたがって暗期に分泌されるホルモンで睡眠作用を持ち、夜間の睡眠発現に大きな役割を果たしている。近年、ヒトにおいても光によるメラトニン分泌抑制反応がみられることや少量のメラトニン投与で概日リズムの位相が変化することなどが基礎研究からわかってきた。しかし、投与時刻により作用が異なることが指摘されており、臨床的な研究が乏しいため本格的臨床応用には至っていない。本研究では、深部体温やメラトニンの概日リズム測定などを用いて評価し、メラトニン投与による睡眠・覚醒障害治療法を開発する。 眠前の1回投与法による症例(睡眠相後退症候群および非24時間睡眠・覚醒症候群合わせて12例)を再検討した。その結果、メラトニン睡眠前1〜4時間投与で睡眠相後退症候群において睡眠相の前進が、非24時間睡眠覚醒症候群においては睡眠相の固定が半数以上の症例でみられたが、長期観察中に再び睡眠相の遅れがみられる症例があった。そのため、健常人におけるメラトニン投与の位相反応曲線いついてこれまでの報告から再検討し、睡眠相後退症候群および非24時間睡眠・覚醒症候群ではメラトニンによる位相反応が誘発できる時間帯(window)が狭いのではないかと考えた。そこで、健常人5名に対し、メラトニン0.9mgを1回投与あるいは3分して投与しこの時の血中濃度の変化を検討した。この結果、3分投与でメラトニン血中濃度を6時間にわたり維持できることがわかった。これを利用し、新たに睡眠相後退症候群および非24時間睡眠・覚醒症候群の患者10例に対し、就眠可能時刻の6〜7時間前から2時間おきに0.3mgを2〜3回投与する方法を試みた。これにより、1回投与に比べてより安定して睡眠相の前進あるいは固定が可能になった。この方法を用いれば、血中メラトニンの内因性リズム測定や深部体温測定などの煩雑な検査を行わなくとも確実なメラトニンによる治療が可能になった。さらに、0.3mg投与では眠気もほとんどみられないため、早い時刻からの投与を行っても認知機能に影響がでにくいことがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 内山 真 他: "概日リズム睡眠障害" Progress in Medicine. 17(8). 52-59 (1997)
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[Publications] 内山 真 他: "睡眠相後退症候群と非24時間睡眠・覚醒症候群" 呼吸と循環. 45(9). 871-877 (1997)
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[Publications] Masako Okawa,et al.: "Vitamin B12 treatment for delayed sleep phase syndrome" Psydriaty and Clinical Neurosciences. 51. 275-279 (1997)
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[Publications] Masako Okawa,et al.: "Different Manifestations of Circadian Rhythirea in Senile Dementia of Alzheimeis Type and Multi-Infarot Dementia" Neurobiology of Aging. 18(1). 105-109 (1997)
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[Publications] 尾崎 茂 他: "睡眠障害と生体リズム" Molecular Medicine. 34(3). 354-365 (1997)
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[Publications] 内山 真 他: "睡眠と記憶(記憶とその障害の最前線)" 高橋徹他編「脳と神経科学シリーズ」(8), 217 (1998)