1996 Fiscal Year Annual Research Report
TSH受容体発現誘導可能細胞3T3-L1を用いたバセドウ病眼症の成因に関する研究
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08671143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
原口 和貴 山梨医科大学, 医学部, 助手 (70165009)
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Keywords | TSHR / 前脂肪細胞 / 3T3-L1 |
Research Abstract |
バセドウ病は、甲状腺刺激自己抗体の刺激により、甲状腺の腫大と甲状腺ホルモンの分泌亢進に伴う代謝亢進による症状を示す疾患である。同時に眼球突出を高率に合併することが知られており、脂肪を含む後眼窩組織のTSH受容体(TSHR)が甲状腺細胞との共通抗原として注目される。我々はバセドウ病眼症のモデル細胞として、脂肪細胞への分化能を有する3T3L1細胞を用いて、TSHR発現の機序に関する研究を行なった。 3T3L1細胞は無血清培地を用いてインスリン,デキサメサゾン,IBMXの存在下で3日間培養し(初期培養)、さらにインスリン単独で数日間培養(後期培養)することにより、分化が誘導され細胞質中にトリグリセリドを含む脂肪滴を形成した。この形態的分化は分化誘導後約7日で観察された。3T3L1のmRNAをTSHR cDNAをプローベとしてノーザン解析を行なったところ、形態的分化の程度によく比例してTSHRのmRNAの増加が認められた。培地に血清を添加すると分化は抑制されTSHRの発現も減少した。後期培養において培地にIBMXを添加すると形態的分化は保持されたが、TSHRの発現は減少し、TSHR発現機序が分化誘導の時期によって複雑に制禦されていることがわかった。TSHR mRNAを発現した細胞はTSHに反応して、cAMPを増加し、脂肪分解に促進することより機能を有する蛋白として発現していることがわかる。現在我々はこの3T3L1細胞に、TSHRの上流を含むコンストラクトを作成しこれを形質導入して、TSHR発現のホルモン反応部位の同定と、それに関わる転写因子についての研究を進めている。
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Research Products
(1 results)