1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトAd4BP(SF-1)遺伝子の転写調節並びに関連疾患に関する研究
Project/Area Number |
08671171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳瀬 敏彦 九州大学, 医学部, 助手 (30239818)
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Keywords | Ad4BP / SF-1 / ELP / 先天性副腎低形成 / DAX-1 |
Research Abstract |
背景 Ad4BP(steroidogenic factor-1、SF-1とも呼ばれる)はステロイド産生臓器特異的な各種ステロイド合成酵素の転写調節因子として作用するのみならず、ノックアウトマウスの成績から副腎、性腺の発生分化並びに下垂体ゴナドトロフの分化に必須の因子であることが判明している。一方、臨床的には先天性副腎低形成とゴナドトロピン単独欠損症を合併する疾患が知られており、我々は本疾患が病態的にAd4BPノックアウトマウスに類似する点に着目し、Ad4BP異常症である可能性を考えてきた。大多数の本症患者家系はX-連鎖劣性遺伝形式を示し、最近、Xp21領域から新しい核内遺伝子DAX-1が単離され、本症患者にも種々の変異が同定されることから、本症の主たる原因遺伝子はDAX-1遺伝子であることが判明している。しかしながらDAX-1遺伝子に異常の認められない症例や女性患者、常染色体劣性遺伝形式を示す本症患者も少数ながら報告されており、本症の原因がAd4BP異常症の可能性も含めたheterogeniousな病因から成り立つことは明らかである。 研究実績: 1)我々は本邦でははじめて2症例の本症男性患者のDAX-1遺伝子を解析し両患者ともにナンセンス変異を見い出した。うち1例は家系解析からde novoの点突然変異であることも明らかにした。 2)Ad4BP異常症の可能性を臨床的に検討する目的で我々はヒトAd4BP遺伝子のクロニーングを行ない、その構造決定に成功した。ヒトAd4BP遺伝子は約30Kb長で、non-coding exon1を求めて7個のエクソンよりら構成されていた。蛋白コード領域は461アミノ酸より成り立ち、他種の同蛋白と極めて高度の保存性を示した。現在Ad4BP異常症と考えられる症例のAd4BP遺伝子異常の有無について検討中である。また5′非翻訳領域の解析により本遺伝子の転写調節機構の研究を進めている。
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[Publications] Yanase T,Takayanagi R et al.: J Clin Endocrinol Metab. 81. 530-535 (1996)
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[Publications] Oba K,Yanase T et al.: "Structural Characterization of Human Ad4BP(SF-1)Gene" Biochem.Biophys.Res.Commun. 226. 261-267 (1996)