1996 Fiscal Year Annual Research Report
チアミン反応性貧血症候群の原因酵素遺伝子の単離と変異部位の解析
Project/Area Number |
08671176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
野坂 和人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10228314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 洋 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60117900)
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Keywords | チアミン / チアミンピロホスホキナーゼ / チアミン反応性貧血症候群 |
Research Abstract |
先天性代謝異常症チアミン反応性貧血症候群の原因異常酵素と思われるヒトチアミンピロホスホキナーゼ(TPK)の遺伝子は未だ同定されていない.そこで、酵母Saccharomyces cerevisiaeのTPK遺伝子THI80の突然変異株を宿主とする酵母の発現クローニング系を用いて、ヒトTPKcDNAの単離を試みた.まず、ヒト培養肝細胞HepG2よりcDNAを調製し、酵母発現ベクターpYES2のGAL1プロモーターの下流に挿入したライブラリーを作製した.このライブラリーをthi80変異株に形質導入しガラクトース培地で増殖させた時、TPK活性の上昇するクローンを分離することにした.なお、TPK活性の指標には、分泌酵素であるチアミン抑制型酸性ホスファターゼが細胞内チアミンピロリン酸濃度が上昇すれば発現されないことを利用した.すなわち、寒天栄養培地で生育したthi80変異株のコロニーは酸性ホスファターゼ活性用発色試薬で赤く染まるが、TPKが発現している株では酵母野性株と同様に染まらないはずであり、この方法で我々はTHI80遺伝子の単離に成功している.しかし、ヒトcDNAが導入された約10万コロニーのうち数十コロニーが染色されなかったが、いずれも液体栄養培地で生育、集菌した細胞ではチアミン抑制型酸性ホスファターゼ活性が認められ、TPKは発現されていないことが示された.このように、酸性ホスファターゼの活性を指標とする検出法では凝陽性のコロニーが生じる割合が高く、現在他のスクリーニング法を検討している. 一方、S. cerevisiaeに続いて最近S. pombeのTPK遺伝子(tnr3)が単離された.THI80とtnr3のアミノ酸配列には部分的にホモロジーが認められており、その部位に相当するオリゴDNAを用いたPCR法によるヒトTPKcDNAクローニングも計画している.
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